セッション情報 |
パネルディスカッション5
PPI抵抗性胃食道逆流症の現状と治療戦略
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タイトル |
PD5-1:QOL低下を指標としたPPI治療抵抗性GERDの検討
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演者 |
古畑 司(虎の門病院消化器内科) |
共同演者 |
山田 晃弘(虎の門病院消化器内科), 貝瀬 満(虎の門病院消化器内科) |
抄録 |
背景と目的:GERDの治療目標は,胸やけを主体とする自覚症状の除去とQOLの改善,粘膜傷害の治癒と合併症の防止である.欧米の研究ではPPI治療にも関わらず週1日以上のGERD症状が残存するとQOLが悪化するとされている.本研究の目的は,QOL低下を指標としたPPI治療抵抗性GERDの本邦における実態を明らかにすることである.対象と方法:PPI治療を行っているGERD患者を対象に,GERD Q・SF8問診票を取得.QOL低下を来すGERD症状の閾値を明らかにし,QOLの観点からPPI治療抵抗性GERDを検討する.結果:1)60例(男性39例,女性21例,年令66.7±10.8歳)から問診票を取得.2)GERD-QのGERD症状(2問),OTC内服に関する質問で,1項目以上が週1日以上ある患者は29人(48%),週2日以上ある患者は17人(28%)であった.3)睡眠障害とGERD症状:睡眠障害はGERD症状週1日以上群で34%(10/29例),週1日未満群では0%(0/31例)と両群間で有意差を認めた(p<0.001).GERD症状2日以上群で44%(7/17例),週2日未満群では7%(3/43例)と両群間で有意差を認めた(p=0.002).4)QOL(SF8)とGERD症状:GERD症状週1日以上群において週1日未満群に比して有意にQOLが悪かった項目は全体的健康感のみであった(P=0.028).一方,GERD症状2日以上群で週2日未満群に比して有意にQOLが悪かった項目は,日常役割機能(P=0.036),体の痛み(P=0.002),全体的健康感(P=0.023),社会生活機能(P=0.006),身体的サマリースコア(P=0.049)の5項目であった.まとめ:PPI治療にもかかわらずGERD症状が残存する患者が相当数存在した.睡眠障害やQOL低下を招く割合の差は,『残存GERD症状週1日以上群vs週1日未満群』に比較して,『残存GERD症状週2日以上群vs週2日未満群』でより明確であった.結論:QOL低下を指標とした場合,日本人のPPI治療抵抗性GERDは週2回以上GERD症状が残存する患者と定義できる. |
索引用語 |
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