セッション情報 パネルディスカッション5

PPI抵抗性胃食道逆流症の現状と治療戦略

タイトル PD5-2:

胃食道逆流症におけるPPI治療抵抗性規定因子の検討

演者 芥川 加代(佐賀大学医学部附属病院光学医療診療部)
共同演者 下田 良(佐賀大学医学部附属病院光学医療診療部), 岩切 龍一(佐賀大学医学部附属病院光学医療診療部)
抄録 【目的】胃食道逆流症(GERD)の治療の第一選択はPPIである.今回はGERDにおけるPPI治療抵抗性と再発に関連する因子について3つの多施設共同研究の結果をもとに検討した.【方法】1)治療抵抗性を検討する目的でGERD患者193名にPPI(ラベプラゾール10mg/日)を投与し症状の改善を4週後Fスケールも用いて検討した.2)191名のびらん性GERD患者に対してPPI維持療法を行い1年後2年後に内視鏡で再発危険因子を検討した.3)重症GERDの多い65歳以上の女性に焦点をあて,6ヵ月以上PPI維持療法をしているびらん性GERD462症例について,治療効果を主治医による患者評価で検討した.【結果】Fスケールによる4週後の治療効果判定では,びらん性GERDに比較して非びらん性GERDのほうがPPIによる治癒率が低い傾向にあった(65.2% vs. 56.8%).多変量解析でPPI抵抗性患者は,びらん性GERD患者では低身長,非びらん性GERDでは女性であること,Fスケールでディスペプシア症状点数が高いこと,であった.内視鏡で評価したPPI維持療法では,2年後の再発率は10%程度であった.再発危険因子は,内視鏡所見の重症度,裂孔ヘルニアの存在,ピロリ菌陰性,萎縮性胃炎(―),非喫煙,女性,低身長,であった.65歳以上の女性に焦点をあてた462症例の検討では,内視鏡所見の重症度とピロリ菌陰性がPPI治療抵抗性の危険因子であった.【結論】今回の結果から従来言われているようにびらん性GERDに比較して非びらん性GERDはPPIの効果が十分でない症例が多く,特に女性でディスペプシア症状の強い患者でその傾向が高いことが判明した.維持療法における再発や治療抵抗性には,内視鏡所見における重症度,ピロリ菌陰性,性別(女性)が深く関連していることが判明した.
索引用語