セッション情報 パネルディスカッション5

PPI抵抗性胃食道逆流症の現状と治療戦略

タイトル PD5-3:

当科におけるPPI抵抗性胃食道逆流症の最終診断

演者 栗林 志行(群馬大学附属病院消化器内科)
共同演者 保坂 浩子(群馬大学附属病院消化器内科), 川田 晃世(群馬大学附属病院消化器内科)
抄録 [目的]PPI治療にも関わらず症状が持続する患者の検討を行った.[方法]対象は他院でのPPI治療にもかかわらず症状が持続し当科へ紹介,または自ら当科を受診した患者,及び当科でのPPI治療にも関わらず「胸やけ」や「咽頭部違和感」が持続する全35例である.全例に上部消化管内視鏡検査が再施行され,好酸球性胃腸炎(食道炎)の診断目的に食道~十二指腸の生検を可能な限り行った.FSSG問診票にて症状が残存する場合にはPPIのfull~double doseの投与を行った.当科での4~8週のPPI治療(原則として食前投与)にも反応しない症例,嚥下困難などの非定型的なGERD症状を呈する症例,内視鏡検査時に不規則な食道運動が観察された症例などには,食道運動障害を疑い,食道内圧測定・食道バリウム造影を施行した.なお,35例中15例には,弱酸性逆流やガス逆流による症状発現の可能性を考慮し,on PPIにて食道インピーダンス・pH測定を行った.[結果]35症例での最終診断はびらん性食道炎1例,胃切除術後の逆流性食道炎3例,早期食道癌1例,好酸球性胃腸炎2例,食道運動障害12例(アカラシア3例,nutcracker esophagus 1例,び漫性食道痙攣3例,非特異的食道運動障害5例),non-erosive reflux disease(NERD)10例,functional heartburn 4例,咽喉頭逆流症2例であった.[結論]PPI抵抗性胃食道逆流症では好酸球性食道炎の可能性も念頭に置かなくてはならない.胃切除術後の逆流性食道炎患者やNERD患者には前医での治療や説明に満足しない症例が含まれていた.PPI抵抗性胃食道逆流症の約1/3が食道運動障害であり,さらに異常酸逆流を認めないものの逆流と症状に関連を認める症例もあり,食道内圧検査やインピーダンス・pH検査を積極的に施行すべきと考える.
索引用語