セッション情報 |
パネルディスカッション5
PPI抵抗性胃食道逆流症の現状と治療戦略
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タイトル |
PD5-4:咽喉頭異常感を合併したPPI抵抗性GERDの臨床像と病態
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演者 |
眞部 紀明(川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波)) |
共同演者 |
畠 二郎(川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波)), 春間 賢(川崎医科大学消化管内科学) |
抄録 |
【背景】咽喉頭異常感を合併した胃食道逆流症(GERD)患者に対するプロトンポンプ阻害薬(PPI)の奏功率は低く,その病態には酸以外の関与も推察されているが,不明な点も多い.【目的】咽喉頭異常感を合併したGERD患者のPPIの奏功率を多数例で検討し,PPI抵抗例の食道運動機能の特徴をHigh resolution manometry(HRM)を用いて明らかにする.【対象および方法】2007年9月から2011年7月の期間に,当院消化管内科および耳鼻咽喉科に咽喉頭異常感を主訴に来院した350例(男性165例,平均年齢57.5才)を対象とした.全例,血液検査,喉頭鏡検査および上部消化管内視鏡検査等により器質的疾患,全身性疾患を除外した後,Fスケール問診票を実施し,8点以上であった214例を咽喉頭異常感を合併したGERDと診断した.次に,これらの患者に対しRabeprazole(RPZ)1日20mgを4週間投与し,治療効果を判定した.最後に,RPZ治療抵抗例の食道運動機能をHRMを用いて評価し,性,年齢をマッチさせた健常者と比較検討した.HRMの測定方法については6時間以上の絶食の後,鼻腔よりカテーテルを挿入し食道内圧とbolus transitを同時に評価した.試験食は液体(生食)5cc×10回とした.【結果】咽喉頭異常感を合併したGERD患者214例中,119例(55.6%)がPPI治療に抵抗した.治療抵抗群で高齢者,男性,Fスケールの合計点の低い症例を有意に多く認めた.更に,PPI治療抵抗群の上部食道括約筋圧,食道体部の蠕動波高,食道体部の正常蠕動波の出現率,complete bolus transitの出現率と健常者のそれとの間に有意差を認めた.また,治療抵抗群の57例(47.9%)には,何らかの食道運動機能異常が観察され,その内の36例(66.4%)はineffective esophageal motilityであった.【結論】咽喉頭異常感を合併したGERD患者のPPIの奏功率は44.4%であった.また,食道運動機能異常は,PPI治療に抵抗性を示す咽喉頭異常感を訴えるGERD患者の重要な病態の一つと考えられた. |
索引用語 |
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