セッション情報 パネルディスカッション5

PPI抵抗性胃食道逆流症の現状と治療戦略

タイトル PD5-5:

日本人のPPI不応性NERD患者の病態解析(酸分泌動態を中心に)

演者 舟木 康(愛知医科大学消化器内科)
共同演者 飯田 章人(愛知医科大学消化器内科), 春日井 邦夫(愛知医科大学消化器内科)
抄録 【目的】24時間食道内pH・インピーダンスモニタリング(24pH・MMI)により,従来のpHモニター検査において食道内pH<4時間比率が4%以上を示す異常酸逆流以外にも,弱酸(pH4~7)や非酸逆流(pH>7)が症状発現に関与していることが明らかとなった.そこで,酸以外の逆流が症状発現に重要であると考えられる,PPI不応性NERD患者を食道内pH<4時間比率(HT)が4%以上の異常酸逆流(異常群)と4%未満の正常群に分け,両群の酸分泌および胃食道逆流動態や症状発現などについて比較検討した.【方法】常用量のPPIを8週間服用後も胸やけなどの症状が持続するPPI不応性NERD患者74例(男性44名,平均年齢:54.8±1.8歳,平均BMI:22.4±0.4Kg/m2)を対象とし,PPI継続下で質問票,24pH・MMIを施行した.異常群と正常群で,背景,症状,酸分泌抑制率,Symptom Index(S.I)を比較検討した.S.I≧50%を症状-逆流関連陽性とした.【結果】74例の平均24時間胃内pH<4HTは54.4±3.1%であった.異常群は23例(31%)で男性17名,平均年齢56.1±3.6歳,平均BMI:23.0±0.6Kg/m2,正常群は51例(69%)で男性27名,平均年齢54.1±2.1歳,平均BMI:22.1±0.4Kg/m2であった.両群間に年齢,性別,BMI,症状に差は認めなかった.平均胃内24時間pH<4HTは異常群64.1±4.4%,正常群49.8±3.9%と両群とも胃内酸分泌抑制は不十分であった.S.I≧50%は異常群の19例(82%)で酸(pH<4)12例,弱酸・非酸逆流(pH≧4)11例,ガス2例であった(重複あり).正常群は37例(73%)で酸(pH<4)7例,弱酸・非酸逆流(pH≧4)28例,ガス18例であった(重複あり).【結論】PPI不応性NERD患者は食道内異常酸逆流の有無にかかわらず胃内酸分泌抑制が不十分であり,症状発現に酸や弱酸の関与を多く認め,PPIの増量や投与法の変更などの対応が有用であると考えられた.
索引用語