セッション情報 パネルディスカッション5

PPI抵抗性胃食道逆流症の現状と治療戦略

タイトル PD5-7:

多チャンネル食道インピーダンス-pHモニタリングを用いたPPI抵抗性NERDの病態分類とbaseline impedanceの関連

演者 木幡 幸恵(大阪市立大学消化器内科学)
共同演者 藤原 靖弘(大阪市立大学消化器内科学), 荒川 哲男(大阪市立大学消化器内科学)
抄録 【目的】NERD症例ではPPI抵抗性を示す患者が約50%存在し,その病態として不充分な酸分泌抑制,酸以外の逆流等の関与が報告されている.baseline impedanceは食道壁の固有の電気的伝導であり,GERD患者では正常人に比べて低値であることが報告させている.そこで今回われわれは,PPI抵抗性NERDのMII-pHモニタリングを用いた病態分類とbaseline impedanceの関連を検討した.【対象と方法】PPI倍量投与(ラベプラゾール10mgを朝夕1錠ずつ)でも症状の改善しないNERD症例をPPI抵抗性NERDと定義し,28例(男性15例,女性13例,平均年齢59歳)に対し,PPI内服下にMII-pHモニタリングを施行し,逆流パラメーターや逆流関連症状からその病態を分類し,さらにそれぞれの分類とbaseline impedanceとの比較を行った.【結果】MII-pHモニタリングによる逆流パラメーターが高値であるか,Symptom indexが50%以上の症例を逆流関連ありとしたところ,28例中21例が逆流に関連し,残り7例の逆流関連無し症例のうち5例はFunctional heartburnと考えられる症例であった.逆流関連有り(狭義のNERD)21例のうち6例は酸逆流関連,15例は非酸逆流関連であった.NERD酸逆流群のbaseline impedance(1245±371 Ω)は,NERD非酸逆流群(2774±1175 Ω)や逆流関連無し(FH群)(2964±857 Ω)に比べて有意に低値であった.(いずれもP<0.01)【結論】NERDと診断されている症例にはいくつかのサブタイプが存在し,その病態分類にはMII-pHモニタリングが有効であった.また,NERDの中でも酸逆流の関連する群では有意にbaseline impedanceが低くなっていた.
索引用語