セッション情報 パネルディスカッション5

PPI抵抗性胃食道逆流症の現状と治療戦略

タイトル PD5-8:

24時間食道pH-多チャンネルインピーダンスモニタリングを用いたPPI抵抗性NERD患者の病態に関する検討

演者 中川 健一郎(東北大学消化器内科)
共同演者 小池 智幸(東北大学消化器内科), 飯島 克則(東北大学消化器内科)
抄録 【目的】日本人のPPI抵抗性NERD患者における症状と関わる液体および気体逆流の因子を明らかにすること.【方法】典型的GERD症状を有し,PPI倍量(rabeprazole 10mg 1日2回)投与でも症状の改善しないNERD患者14例(男:女=7:7,平均62.0歳)を対象とし,PPI倍量投与下に24時間食道pH-多チャンネルインピーダンスモニタリングを行った.胃酸や胃酸以外の液体逆流,気体逆流について,症状別に分類し,symptom index(SI)≧50%を陽性と判定した.また,pH<4.0をacid reflux,4≦pH<7をweakly acid reflux,pH≧7をweakly alkaline refluxとし,LES上端より15cm以上上方に達する逆流をproximal reflux,15cm未満の高さまでの逆流をdistal refluxと分類した.【結果】SI陽性となった症例は,胸やけ症状で14例中5例,おくび症状で胸やけ症状との重複1例を含み14例中5例,SI陽性症状がみられなかった症例は14例中5例であった.胸やけ症状におけるSI陽性例では症候性液体逆流は計13回,症候性液体気体混合逆流は計4回認められ,weakly acid refluxはそれぞれ9回(69.2%),3回(75%)であり,acid reflux,weakly alkaline refluxと比較し最も多く認められた.逆流到達部位別検討では症候性液体逆流はLES上縁より5cm:0/27回(0%),7cm:1/12回(11.1%),9cm:2/24回(8.3%),15cm:4/13回(30.8%),17cm:6/17回(35.3%)であり,症候性液体気体混合逆流はLES上縁より5cm:0/8回(0%),7cm:0/4回(0%),9cm:1/16回(6.3%),15cm:0/0回(0%),17cm:3/10回(30.0%)であった.また,おくび症状におけるSI陽性例の症候性逆流はすべて気体逆流で,到達部位はLES上縁より5cm:0/18回,7cm:0/32回,9cm:0/20回,15cm:0/1回,17cm:51/182回(28.0%)であった.【結論】日本人のPPI抵抗性NERD患者では,弱酸かつ上部食道までの逆流が胸やけ症状と関連性が強いことが示唆された.一方,PPI抵抗性NERD患者の約3分の1では症状と逆流との関連性が認められないことが明らかとなった.
索引用語