セッション情報 |
パネルディスカッション5
PPI抵抗性胃食道逆流症の現状と治療戦略
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タイトル |
PD5-11:PPI抵抗性NERDに対する腹腔鏡下逆流防止手術の治療成績
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演者 |
小村 伸朗(東京慈恵会医科大学外科学講座消化管外科) |
共同演者 |
柏木 秀幸(東京慈恵会医科大学外科学講座), 矢永 勝彦(東京慈恵会医科大学外科学講座) |
抄録 |
【背景】NERDではerosive GERDと比較してPPIの効果が乏しく,その病態は多様である.またGERDに対する外科治療数は本邦では少なく,とくにNERDの手術例は少数であり,治療成績に対する検討は不十分である.【目的】PPI抵抗性NERDに対する腹腔鏡下逆流防止手術の治療成績を検討した.【対象と方法】2000年1月より2012年8月までにPPI抵抗性NERD 74例(女性39例,平均年齢53.1±19.0歳,平均体格指数23.3±3.7)に対して腹腔鏡下逆流防止手術を施行し,これらを対象とした.なおPPI抵抗性NERDの定義はPPIの常用量投与によりGERD関連症状が完全に消失しない場合とした.術前の病態,手術時・入院中経過,術後経過などを検討した.【成績】食道裂孔ヘルニアは73人中65人(89%)に認め,うち23例(32%)は中等度以上のヘルニアであり,14例(61%)は混合型であった.Valve factorによる噴門の評価では69人中56人(81%)に噴門の緩みを認めた.pHモニタリングによる酸逆流評価では57人中27人(47%)で明らかな酸逆流を認めた.平均手術時間は137±44(72~280)分,出血量の中央値は少量であり,術中1例に胃壁損傷の合併症を認めたが,開腹への移行例や輸血例はなかった.食事開始時期は術後平均2.1±0.6日(中央値2日),術後在院日数は8.3±3.7日(中央値7日)であった.術後に8例に中等度以上のdysphagiaを認め,3例に内視鏡的拡張術を行ったが,遷延するdysphagiaを2例に認めた.また2例(3%)に術後,胃潰瘍を認めた.術後,食道裂孔ヘルニアの再発を5例(7%)に認め,1例には腹腔鏡下で再手術を行った.外来経過観察中,最終的にPPIを離脱できた症例は63例(85%)であった.【結語】PPI抵抗性NERDに対する腹腔鏡下逆流防止手術の奏功率は概ね良好であり,85%の患者でPPIを中止することが可能であった. |
索引用語 |
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