セッション情報 パネルディスカッション5

PPI抵抗性胃食道逆流症の現状と治療戦略

タイトル PD5-12:

PPI抵抗性GERDに対する内視鏡治療―ESDを応用した噴門形成術の成績

演者 時岡 聡(大阪医科大学第二内科)
共同演者 梅垣 英次(大阪医科大学第二内科), 樋口 和秀(大阪医科大学第二内科)
抄録 【目的】食道・胃逆流症(GERD)の治療の第一選択は薬物治療であるが,半永久的に内服が必要な疾患である.そこで内視鏡によるendoluminal surgeryでGERDを治療しようと試み,数種類の治療法が開発され臨床応用されてきている.当科ではEndoluminal gastroplication(ELGP法)を16例に行い良好な成績であった.しかし,これらの内視鏡治療は欧米の考え方に左右され,今後日本独自の方法を早急に開発し確立していかなければならない.そこで,今回我々は,GERD患者の逆流症状の改善および内服治療の軽減・中止をはかることを目的として,内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を用いた新たなGERDの内視鏡治療(ESDG)を考案したので報告する.【対象および方法】ESDGは通常の内服治療のみでは消失しないGERD症状を有し,同意の得られた7例を対象とした.食道・胃接合部の胃側の粘膜を中心に約1/2周にわたりESDを施行することにより潰瘍を作成した.その後,潰瘍が瘢痕収縮・治癒する過程で食道・胃接合部は狭小化し,いわゆる内視鏡治療による噴門形成術を行った.本法による治療前後のGERD症状,内服薬の量,食道pH,食道内圧,安全性を評価した.尚,ESDGは施設内倫理委員会に申請の上承認されている.【結果】(1)ESDGによる重篤な偶発症は認められなかったが,1例で軽度通過障害が生じた.(2)ESDG術後,自覚症状は全員が軽減した.(3)2例で内服薬の減量が可能であった.(4)術後食道内pH測定を行った症例では,術前と比較しpHが上昇傾向にあった.(5)1例で食道内圧測定にてLES圧が術前より術後に上昇した.(6)ELGPでは適応外のGradeDの食道炎の症例にも施行可能であると考える.【結論】GERD患者に対するESDの技術を応用したESDGは,ELGPと比較し同等の症状改善が認められ,新たなGERDの内視鏡治療となりうる可能性が示唆された.
索引用語