セッション情報 ワークショップ7(消化器病学会・肝臓学会合同)

消化器疾患と性差

タイトル 消W7-1:

当院の健診における逆流性食道炎の危険因子の性差別の検討

演者 藤澤 美亜(東海大・消化器内科)
共同演者 松嶋 成志(東海大・消化器内科), 峯 徹哉(東海大・消化器内科)
抄録 【目的】逆流性食道炎は、H.pylori感染率の低下、食生活の欧米化、生活習慣の変化、高齢化などに伴い、本邦でも増加傾向を示している疾患である。その生活習慣における危険因子としては、これまで高齢、BMI、喫煙、飲酒等があげられており、このうち性差を示すものとしては、BMIが女性にのみ危険因子となることが報告されている。今回、私たちは当院健診受診症例を用いて、逆流性食道炎の危険因子の性差について検討を行った。【方法】対象は2011年1月から2011年12月までの当院健診受診者15593人。そのうち上部消化管内視鏡にて逆流性食道炎と診断された受診者は825人であった。性別、年齢、BMI、喫煙、飲酒、LDL-コレステロール値、食道裂孔ヘルニアの有無にて逆流性食道炎の罹患率を比較し、さらに年齢以下の項目については男性、女性に分けて検討を行った。【成績】年齢は、男女ともに高齢になるほど逆流性食道炎の羅患率が高かったが、とくに男性でより高い罹患率を示していた。喫煙については、全体では罹患率の差はみられなかったが、女性では禁煙者に有意に多かった。以上の結果は、これまでの報告とは異なる結果であった。BMIでは、女性はBMIの増加とともに罹患率は上昇したが、男性は明らかな傾向を示さなかった。飲酒、LDLコレステロールでは、全体でも男女別でも差はみられなかった。食道裂孔ヘルニアをもっている受診者は、全体、男女別とも、有意に罹患率が高かった。これらの結果はこれまでの報告と同様であった。【結論】本検討によれば、性差を有する逆流性食道炎の危険因子は年齢、BMI、喫煙の3項目であった。今後、交絡因子を含め、その理由を考察し発表する予定である。
索引用語 逆流性食道炎, 危険因子