セッション情報 |
パネルディスカッション6
小腸病変の診断と治療の進歩
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タイトル |
PD6-8:小腸出血性疾患診断における便中hemoglobin-haptoglobin complex測定の有用性
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演者 |
垂水 研一(川崎医科大学消化管内科学) |
共同演者 |
塩谷 昭子(川崎医科大学消化管内科学), 春間 賢(川崎医科大学消化管内科学) |
抄録 |
【目的】大腸癌検診に用いられている免疫学的便潜血検査Immunologic fecal occult blood test(IFOBT)は,糞便中Hemoglobin(Hb)の抗原性の失活により,上部消化管および小腸の少量出血では偽陰性を来す危険性がある.一方,Hb-haptoglobin complex(Hb-Hp complex)は安定性が高く,出血を来す上部消化管や小腸疾患の診断においてその有用性が報告されている.カプセル内視鏡(CE)で診断された小腸疾患における糞便中Hb-Hp complexの検出率をHbと比較検討した.【方法】overt bleedingを除く原因不明消化管出血(OGIB)あるいは小腸精査のためにCEを施行した患者を対象に検査時の糞便を採取し,Hb-Hp complexをELISA法およびイムノクロマト法で,Hbをラテックス凝集比濁法(OCセンサーDIANA)にて測定した.【成績】対象はCEを施行した50例(男性26例,平均年齢66歳).NSAIDs内服21例(内,低用量アスピリン11例)を含む.CEの目的は,OGIB 25例,貧血精査8例,小腸疾患の経過観察6例,小腸精査10例,腹痛精査1例.CEの結果,出血源が認められなかった群(A群):10例,上部小腸のみに病変を認めた群(B群):18例,上・下部小腸または下部小腸に病変を認めた群(C群):17例であり,胃出血が疑われたのは2例,大腸出血が疑われたのは3例であった.Hb-Hp complex中央値はA群;2.6 ng/mL,B群;18.6 ng/mL,C群;16.2 ng/mLと,小腸病変を有する群で有意に高値(p=0.001)であり,3群間に有意差を認めたが,Hbでは有意差を認めなかった.Hb-Hp complexカットオフ値5ng/mLおよびHbカットオフ値50ng/mLとした場合,小腸病変の感度・特異度は,Hb-Hp complex;71%・70%,Hb;33.3%・90%であった.Hbのみ陽性は大腸出血疑いの1例で,Hb-Hp complexのみ陽性は15例中11例(74%)に,Hb-Hp complexおよびHb両者陽性は19例中18例(95%)に小腸病変を認めた.【結論】Hb-Hp complexの測定は,小腸病変の補助診断に有用である可能性が示唆された. |
索引用語 |
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