セッション情報 パネルディスカッション7

進行肝細胞癌に対する化学療法の治療戦略

タイトル PD7-2:

進行肝細胞癌におけるソラフェニブ再増量の検討

演者 小笠原 定久(千葉大学大学院医学研究院消化器・腎臓内科学)
共同演者 金井 文彦(千葉大学大学院医学研究院消化器・腎臓内科学), 横須賀 收(千葉大学大学院医学研究院消化器・腎臓内科学)
抄録 【目的】進行肝細胞癌におけるソラフェニブの治療において有害事象により減量を要した症例の再増量について考察した.【対象と方法】2009年5月から2012年5月までに当科にてソラフェニブを通常用量(800mg/日)で分子標的薬一次療法として導入した93例,および治療期間中に再増量を試みた14例をレトロスペクティブに解析した.増量は400 mg/隔日→400mg/日→600mg/日→800mg/日と段階的に行った.【結果】年齢中央値72歳,男/女 74/19,HBV/HCV 12/52,C-P A/B 77/16,PS 0/1/2 43/42/8,BCLC B/C 41/52,Stage III/IVa/IVb 41/16/36,観察期間中央値は7.1Mであった.ソラフェニブ導入日を起算とする治療成功期間(TTTF)は2.7M(中央値),全生存期間(OS)は11.5M(中央値)であった.用量調整(減量/休薬)を83例に行い(減量:79例,休薬57例),治療開始から用量調整が必要となるまでの期間は10日(中央値)であった.減量の要因となる有害事象(DLT(dose limited toxicity))は,HFSR 28例,肝機能障害/肝性脳症19例,食欲不振16例,皮疹6例であり,再増量を試みた14例のDLTはHFSR 9例,肝機能障害/肝性脳症2例,皮疹1例,食欲不振1例,全身倦怠感1例であった.5例が2段階以上,6例が1段階の増量が可能であったが,3例は増量を試みるも有害事象の出現で再度減量を行った.増量により7例でDLTを再度認めたが(HFSR 6例,全身倦怠感1例),1例(HFSR)を除き耐容可能であった.増量不能の要因となる有害事象は,下痢2例,HFSR 1例であった.治療開始から再増量までの期間は3.5M(中央値)であり,TTTFは7.1M(中央値)であった.【結語】再増量は耐容性があり,積極的に考慮する必要がある.
索引用語