セッション情報 パネルディスカッション7

進行肝細胞癌に対する化学療法の治療戦略

タイトル PD7-4:

進行肝細胞癌における経皮的肝灌流化学療法の位置づけ

演者 木戸 正浩(神戸大学肝胆膵外科)
共同演者 福本 巧(神戸大学肝胆膵外科), 具 英成(神戸大学肝胆膵外科)
抄録 (はじめに)進行肝癌に対する化学療法における第一選択薬は欧米ではsorafenibとなっており,European GuidelineにおけるBCLCのadvanced stage(C)のMSTは9.5ヶ月となっている.Intermediate stage(B)はTACEとなっており,MSTは20ヶ月である.(目的)stage B,Cに対する経皮的肝灌流化学療法(PIHP)を軸とした集学的治療の成績を検討し,報告する.(対象と方法)1989年6月から2011年12月までに当施設で行ったPIHPは210例であり,今回は非切除及び再発HCCの77例(単独群),両葉多発HCCの切除後残肝病変に対し行った81例(Dual群),Dual不能例に対する術前PIHP後の切除症例の9例(術前群),その他4例を対象とし,検討した.(結果)全171例の内訳はstage Bが77例,stage Cが94例で奏功率はそれぞれ66%,57%であった.またDual群81例の内訳はstage Bが23例,stage Cが58例で奏功生存率はそれぞれ78%,67%であった.生存率はstage Bで1年86%,3年48%,5年29%,MSTは34ヶ月,stage Cで1年72%,3年27%,5年22%であり,MSTは19ヶ月と非常に良好であった.これに加え,最近では主要肝静脈根部の高度腫瘍圧排・浸潤例や肝部下大静脈の高度腫瘍圧排・浸潤例に対し,まずPIHPを先行させ,抗腫瘍効果が認められるや否や減量切除を加える新たなる戦略も始まり,9例が完遂した.(結語)European GuidelineにおけるStage B,CでもPIHPを軸とした集学的治療で中-長期予後の改善が得られた.
索引用語