セッション情報 パネルディスカッション7

進行肝細胞癌に対する化学療法の治療戦略

タイトル PD7-7:

進行肝細胞癌合併肝硬変症例に対する集学的治療におけるsorafenib併用の有用性

演者 永井 英成(東邦大学医療センター大森病院消化器内科)
共同演者 石井 耕司(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 住野 泰清(東邦大学医療センター大森病院消化器内科)
抄録 【背景】進行肝細胞癌(aHCC)の集学的治療において,sorafenib(SF)投与が既存治療の肝動注化学療法(HAIC)に比し予後をさらに改善するかどうかは,まだ検討の余地が残されている.【目的】aHCC合併LC症例に対する集学的治療におけるSF投与の有用性を,HAIC単独治療と比較検討することで明らかにする.【対象】Child A/B,Stage IVのaHCC合併LC患者で,2000年3月から2011年8月までにHAICを導入した99症例(H群)と2009年6月から2012年8月までにSFを投与した61症例(S群)を対象とした.【方法】H群では,HAICはLeucovorin 12mg/hr,CDDP 10mg/hr,5-FU 250 mg/22hrを5日間連続投与後2日間休薬4週間施行し繰り返し施行.S群では,SF200~800mg/body/dayを4週間以上服用,可能な限り服用またはTACEを追加.Vp3以上の脈管浸潤を伴った症例に対してはSF先行投与後HAICを導入.【成績】Child A/BはH群42/57例,S群51/10例.背景肝HBV/HCV/nonBnonCはH群23/60/16例,S群10/35/16例.腫瘍進行度はstage IVA/IVBはH群74/25例,S群52/9例.Child Aにおける生存期間中央値はH群501日,S群477日と有意差を認めなかった.Vp3以上の脈管浸潤はH群26例(HVP群),S群15例で,SF投与後HAIC導入は14例(SVP群)であった.生存期間中央値はHVP群272日,SVP群315日で,SVP群はHVP群に比し有意な生存期間の延長を認めた.奏功率ではHVP群は14.3%,SVP群はSF先行投与6.7%であったが,HAIC終了後46.7%へ改善した.【結語】aHCC合併LC症例に対する集学的治療において,SF投与は既存治療のHAICと同等の延命効果を得ることができ,特にVp3以上の脈管浸潤を伴った症例に対しては,SF先行投与後HAICがHAIC単独治療に比し延命効果を期待できる可能性が示唆された.
索引用語