| セッション情報 |
パネルディスカッション7
進行肝細胞癌に対する化学療法の治療戦略
|
| タイトル |
PD7-9：進行肝細胞癌におけるsorafenibと肝動注化学療法の治療成績
|
| 演者 |
中馬 誠（北海道大学消化器内科） |
| 共同演者 |
坂本 直哉（北海道大学消化器内科）, 山本 義也（市立函館病院消化器科） |
| 抄録 |
【目的】進行肝細胞癌におけるsorafenibと肝動注化学療法の治療成績を比較し，病期別の有効な治療法の選択について検討した．【方法】2002年10月から2011年10月までに進行肝細胞癌（stage III，IVA，B）に対して，肝動注療法を施行後Sorafenibの内服が行われなかった91例（H群）とSorafenibが投与された後肝動注療法が施行されなかった89例（S群）を対象とし，両群における病期別の1）治療効果，2）生存率を比較検討した．【成績】両群：H群vs S群の背景因子として，平均年齢：61.6 vs 67.0歳，性（男性/女性）：75/16例vs 67/22例，Child-Pugh（A/B/C）：61/29/1例vs 82/7/0例（P＜0.001），主病巣の大きさ：79mm vs 61mm（P＜0.001），Stage（III/IVA/VB）：26/51/14 vs 26/22/41，門脈腫瘍塞栓（VP有/無）：58/33 vs 28/61例（P＜0.001）であり，H群でVPを伴い，腫瘍径が大きく肝予備能が低下している傾向であった．1）6週後RECICT評価での奏功率は，H群28.9%,S群3.7%（P＜0.001）であったが，病勢制御率（CR+PR+SD）はH群68.1%，S群55.0%（P=0.39）であった．病期別の病勢制御率は，H群vs S群：Stage III；88.5% vs 80.7%（P=0.49），IVA；66.6% vs 22.7%（P＜0.001），IVB；35.7% vs 52.6%（P=0.21）であり，IVAではH群が良好であった．2）全体の生存期間中央値（MST）は，H群/S群 12.7/9.3ヶ月であった．病期別のMSTについては，Stage III：H群/S群；19.8/17.8ヶ月（P=0.21），IVA：H群/S群；10.8/4.0ヶ月（P=0.009），IVB：H群/S群；5.2/11.9ヶ月（P=0.004），IVAに関してはH群，IVBではS群が良好であったが，IVBのS群でVP有/無のMSTは4.1/12.7ヶ月であり，VPを伴うIVBではH群，S群ともに予後不良であった．【結語】進行肝細胞癌において，病勢制御，生命予後の面よりstage IVAでは肝動注療法の方がsorafenibより有効であることが示唆された．またVPを伴わないstage IVBではsorafenib治療が有効と考えられたが，stage IVBのVP症例は更なる治療法の改善が望まれる． |
| 索引用語 |
|
