セッション情報 |
パネルディスカッション7
進行肝細胞癌に対する化学療法の治療戦略
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タイトル |
PD7-10:高度進行肝細胞癌に対する治療選択―ソラフェニブと動注化学療法の比較
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演者 |
田中 基彦(熊本大学消化器内科学) |
共同演者 |
福林 光太郎(熊本大学消化器内科学), 佐々木 裕(熊本大学消化器内科学) |
抄録 |
【目的】高度進行肝細胞癌(HCC)に対するソラフェニブ(SOR)治療をそれ以前より施行している動注化学療法(HAIC)と比較し,両治療のより適切な治療選択を検討した.【方法】4週以上の治療を行ったSOR投与63例,HAIC施行118例を対象とした.効果は1ヵ月以降のModified RECISTにより判定し生存,病勢進行期間(TTP)について検討した.SOR治療の20例(PR/SD/PD 5/12/3)では,治療前と1ヵ月後の血中VEGF,Angiopoietion-2(Ang2),bFGFなどの変化を検討した.【結果】奏効率はSOR治療12.7%(CR/PR/SD/PD 2/6/38/17),HAIC 24.6%(CR/PR/SD/PD 4/25/48/41)であった.Vp例はHAIC群に,肝外転移例はSOR群に有意に多く(Vp有/無;20/43 vs 60/58,転移有/無;34/29 vs 33/85),肝予備能はSOR群で良好であった(Child A/B/C;61/2/0 vs 78/35/5).50%生存期間はSOR群267日(CR/PR/SD 398日),HAIC群293日(CR/PR/SD 387日),TTP中央値はSOR群129日,HAIC群132日と差はなかった.SOR治療の有意な予後因子は病勢制御(HR 0.5),腫瘍量(>50%)(HR 4.2),PIVKA II(>1000mAU/mL)(HR 4.0),病勢進行因子は腫瘍量(>50%)(HR 2.8),HBs抗原陽性(HR 3.2)であった.HAICの予後因子は病勢制御(HR 0.3),腫瘍型(結節型)(HR 0.4),Alb(>3.5g/dl)(HR 0.5),進行因子は転移有(HR 2.1),Child B/C(HR 1.9)であった.両治療をChild Aの139例で検討すると,有意な進行因子は治療(SOR)(HR 1.6),腫瘍量(>50%)(HR 1.8)であり,TTPはVp有,転移無の例でHAIC群がSOR群より有意に長かった.SOR治療前後のバイオマーカーは,VEGF,Ang2はPRの3例で低下,2例で軽度上昇し,PDの3例ではいずれも上昇した.bFGFは治療前の高値例は2例のみであった.【結語】TTPの面からはVp有,転移無の症例をHAICのより積極適応と考えられた.SOR治療中の血中血管新生関連分子は,奏効例で低下あるいは抑制され,効果予測マーカーとして有用であることが示唆された. |
索引用語 |
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