セッション情報 パネルディスカッション7

進行肝細胞癌に対する化学療法の治療戦略

タイトル PD7-12:

肝外転移非合併進行肝細胞癌に対する肝動注化学療法とソラフェニブの比較

演者 河岡 友和(広島大学病院消化器・代謝内科)
共同演者 相方 浩(広島大学病院消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大学病院消化器・代謝内科)
抄録 【目的】肝外転移非合併進行肝細胞癌(肝癌)に対する肝動注化学療法(HAIC)とソラフェニブの成績,およびHAIC不応例に対するソラフェニブの成績を検討した.【対象】対象は,これまでのHAIC295例,ソラフェニブ112例のうち,肝外転移非合併,Child Pugh score7点以下の症例において,1)経過中ソラフェニブ治療歴のないHAIC164例.Stage II/III/IVa=5/41/118例,Vp3/4=47/34例,Child Pugh5/6/7点=72/61/31例.2)経過中HAIC治療歴のないソラフェニブ症例30例.Stage II/III/IVa=5/12/13例,Vp3/4=4/2例,Child Pugh5/6/7点=16/13/1例.3)HAIC不応後にソラフェニブ治療を行った27例,について治療成績を解析した.【結果】1)HAICの奏功率30.4%,MST8.8ヶ月,CR109/PR19.3/SD9.7/PD4.7ヶ月.生存に寄与する独立因子は,奏功有り(HR4.4,P<0.0001),Child Pugh A(HR1.9,P=0.003),AFP<1000(HR1.9,P<0.0001),PS0(HR1.8,P=0.009).Vp0-2とVp3/4の奏功率/MSTは,29%/8.8ヶ月と32%/MST9.6ヶ月.2)ソラフェニブの奏功率3.3%,TTP 6ヶ月,MST 11ヶ月,CR-/SD 12/PD7.9ヶ月.生存に寄与する独立因子は,腫瘍径50mm以下(HR6.0,P=0.001).Vp0-2とVp3/4の奏功率/MSTは,4%/12ヶ月と0%/4.3ヶ月.3)HAIC不応例に対するソラフェニブ切り替え後のMST10.4,TTP5.2ヶ月.HAIC SD症例におけるHAIC導入後のMSTは,ソラフェニブ切り替え/非切り替え症例20.2/9.7ヶ月(p=0.024),HAIC PD症例では11.2/4.7ヶ月(p=0.002).【結語】肝外転移非合併,Child Pugh score7点以下の進行肝癌において,HAICはVp進行度にかかわらず奏功率および奏功例の予後は良好であったが,ソラフェニブはVp3/4症例で予後不良な傾向であった.一方,HAIC不応例に対するソラフェニブは予後を改善する可能性がある.
索引用語