セッション情報 |
パネルディスカッション8
自己免疫性肝疾患の現状と問題点
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タイトル |
PD8-3:自己免疫性肝炎非典型例の診断における血清中抗PD-1抗体の有用性
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演者 |
三宅 康広(岡山大学病院消化器内科) |
共同演者 |
松下 浩志(岡山大学病院消化器内科), 山本 和秀(岡山大学病院消化器内科) |
抄録 |
【目的】近年,抑制性の補助刺激分子であるprogrammed cell death(PD)-1の機能不全が自己免疫性肝炎(AIH)の病態に関与している可能性が報告されている.また,我々は,AIH患者の血清中に抗PD-1抗体が存在し,血清中抗PD-1抗体がAIH患者の疾患活動性やステロイド剤に対する治療反応性と関連することを報告してきた.今回は,非典型例とされるAIH例の診断における血清中抗PD-1抗体の有用性について検討した.【方法】対象は,肝生検が施行され1999年国際診断基準で疑診または確診と診断されたAIH52例とDDW-J2004基準でスコア3点以上かつ経過より薬物性肝障害(DILI)と診断された24例,急性ウイルス性肝炎(AVH)30例,健常者62例.血清中抗PD-1抗体価は,recombinant PD-1を抗原としてindirect ELISA法にて測定した.なお,健常者における抗PD-1抗体価のmean+2SD以上を示す場合に抗PD-1抗体陽性とした.【結果】血清中抗PD-1抗体陽性率は,AIHで63%,DILIで8%,AVHで13%,健常者で3%.AIH症例のうち,抗核抗体陰性例の33%,抗平滑筋抗体陰性例の69%,血清中IgGが2g/dl以下を示す症例の54%で血清中抗PD-1抗体が陽性.また,急性発症例の68%,肝組織で急性肝炎を示す症例の86%,zone 3 necrosisを示す症例の75%で血清中抗PD-1抗体が陽性.AIHのうち抗平滑筋抗体陰性例,急性発症例,肝組織で急性肝炎を示す症例,zone 3 necrosisを示す症例の血清中抗PD-1抗体陽性率は,DILI及びAVHにおける陽性率よりも有意に高値であった.【結論】血清中抗PD-1抗体は,AIH非典型例においても高率に陽性となり,DILIとの鑑別診断が困難なAIH例において診断の補助検査として有用である可能性が示された. |
索引用語 |
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