セッション情報 パネルディスカッション9

非代償性肝硬変の合併症と予後

タイトル PD9-1:

肝硬変患者の合併症の疫学

演者 白木 亮(岐阜大学病院消化器内科)
共同演者 華井 竜徳(岐阜大学病院消化器内科), 森脇 久隆(岐阜大学病院消化器内科)
抄録 【目的】肝硬変患者の合併症としては,黄疸・腹水・肝性脳症・食道静脈瘤・耐糖能異常などがあり予後に影響を及ぼすため様々な治療が試みられている.今回,岐阜大学医学部附属病院消化器内科で加療中の肝硬変患者の合併症の頻度調査を行った.【方法】対象は,2012年5~7月の3ヶ月間に当科で加療中の肝硬変患者264名(男:女167:97名,年齢68.7±11.3歳)を対象.肝硬変の原因は,HBV 31名,HCV 165名,アルコール36名,その他32名であった.Child-Pugh分類は,A 186名,B 41名,C 37名,肝癌合併患者は126名であった.また,経口分岐鎖アミノ酸製剤を継続服用している患者は77名であった.画像で確認される腹水・1度以上の肝性脳症・上部消化管内視鏡検査で確認された食道静脈瘤および治療歴・T.Bil≧3.0mg/dlの黄疸・投薬加療が行われている耐糖能異常の頻度について横断的に調査した.また,1997年の本邦の肝硬変患者622名での合併症(腹水・肝性脳症・食道静脈瘤)頻度と比較検討した.【結果】1.腹水は21.2%に認め肝機能の悪化につれて有意にその頻度は増加した(Child A 8.6%,Child B 53.7%,Child C 48.7%).なお,1997年は22.7%であり差を認めなかった.2.肝性脳症は10.5%に認め肝機能の悪化につれて有意に頻度は増加した(Child A 4.8%,Child B 22.0%,Child C 18.9%).なお,1997年は6.4%であり差を認めなかった.3.食道静脈瘤は55.3%に認め33.3%に治療歴があった.また肝機能の悪化につれて有意に頻度は増加した(Child A 39.2%,Child B 87.8%,Child C 100%).なお,1997年は57.4%であり差を認めなかった.4.黄疸は4.8%に認め肝機能の悪化につれて有意に頻度は増加した(Child A 2.2%,Child B 4.9%,Child C 16.2%).5.治療を有する耐糖能異常は27.7%に認めるものの,肝機能との関係は認めなかった(Child A 29.0%,Child B 19.5%,Child C 29.7%).なお,2000年の当科の調査(27.6%)と同等であった.【結論】肝硬変患者では,腹水・肝性脳症・食道静脈瘤・耐糖能異常の合併症を認め,その頻度は15年前と変化を認めなかった.
索引用語