セッション情報 ワークショップ1

C型肝炎治療困難例への対策

タイトル W1-1:

C型慢性肝炎難治例におけるペグインターフェロン・リバビリン併用療法の治療効果と発癌抑制効果

演者 本多 隆(名古屋大学大学院消化器内科学)
共同演者 片野 義明(名古屋大学大学院消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大学大学院消化器内科学)
抄録 【目的】C型慢性肝炎患者の高齢者や線維化進展例ではPegIFNとリバビリン併用療法の効果は低下するが,高齢者や線維化進展例における発癌率は高く,このような症例において発癌を抑制することは重要である.そこで高齢者と線維化進展例における治療効果及び発癌抑制効果について検討した.【対象,方法】当院および関連施設において併用療法を施行したC型慢性肝炎1243例を検討した.平均年齢54.0歳,男/女 647/596,平均観察期間50.6ヶ月である.治療はPegIFNα2b 1.5μg/kg皮下+リバビリン:600~1000mg/日経口である.高齢者と非高齢者,線維化進展例(血小板14万未満)と非進展例(血小板14万以上)においてSVR率の割合,中止率を比較した.また,Cox比例ハザード,Kaplan-Meier法により累積発癌率,発癌に関与する因子を検討した.【成績】SVR率は高齢者39.9%,非高齢者60.1%,線維化進展例43.6%,非進展例61.3%であり高齢者及び線維化進展例で有意に低率であった.中止率は高齢者,線維化進展例で有意に高率であった.発癌に関与する因子は高齢者(ハザード比:3.022,P<0.0001),線維化進展(ハザード比:2.899,P<0.0001),治療効果(ハザード比:2.615,P=0.003)性別(ハザード比:2.103,P=0.013)であった.累積発癌率は高齢者は非高齢者と比較して累積発癌率が有意に高かった.線維化進展例は非進展例と比較して累積発癌率が有意に高かった.高齢者,線維化進展例においてSVR症例はnonSVR症例と比較して累積発癌率はより低下した.【結論】高齢者や線維化進展例ではSVR率も低値であり,累積発癌率も高率であった.しかしSVRが得られた場合には発癌率を下げるインパクトがより強かった.高齢者や線維化進展例では治療効果は低率であるが,発癌率を下げるためにSVRを目指すことが重要である.
索引用語