セッション情報 ワークショップ1

C型肝炎治療困難例への対策

タイトル W1-3:

高齢者C型肝炎に対する抗ウイルス療法の現況と有用性―多施設共同研究―

演者 小瀬 嗣子(大阪大学消化器内科学)
共同演者 平松 直樹(大阪大学消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大学消化器内科学)
抄録 [目的]高齢化社会が進み,高齢者C型肝炎患者に対する抗ウイルス療法の是非が問題となっている.今回,高齢者C型肝炎に対するTVR/Peg-IFN/RBV併用療法とPeg-IFN/RBV療法の治療効果ならびにPeg-IFN/RBV療法の発癌抑制効果を検討した.[方法]検討1.TVR/Peg-IFN/RBVを開始した1型高ウイルス量C型肝炎160例のうち治療開始後12週以上経過した85例(男/女=47/37例,60.8±8.7歳)における治療効果と安全性について検討.検討2.Peg-IFN/RBVを開始した高ウイルス量C型肝炎754例(1/2型=497/257例)における治療効果と治療効果に関与する因子を検討.検討3.Peg-IFN/RBVを施行した65歳以上のC型慢性肝疾患649例(68.1±2.6歳,男/女=274/375例,平均観察期間:41±16ヶ月)における肝発癌に関与する因子を検討(Cox比例ハザードモデル).[成績]検討1.TVR標準投与量開始例では,65歳未満/65歳以上のTVR中止率は26%(9/34)/60%(9/15)(p=0.02)と高齢者で高率であったが,RVR率は84%(21/25)/82%(9/11),c-EVR率は100%/100%と治療中の抗ウイルス効果は同等であった.検討2.55歳未満/55-59/60-64/65-69/70歳以上の副作用中止率は6/8/12/19/20%,著効率(PPS)は1型:62/54/60/39/39%(RGT),2型:87/85/82/79/63%であった.1型65歳以上における著効は,血小板低値(p=0.027),治療開始4週時のHCV-RNA減少率(p<0.001)が関与し,1log未満/1-2/2-3/3-4/4log以上/陰性別の著効率は0/0/27/42/80/100%であった.検討3.肝発癌は,男性(HR:3.5,p=0.007),血小板15万未満(HR:4.7,p=0.007),AFP5ng/ml以上(HR:2.8,p=0.036)で有意に高率であり,無効群に比し著効群(HR:0.27,p=0.016)で有意に発癌率が抑制された.[結論]高齢者は発癌高リスク群であるがPeg-IFN/RBVによる治療介入により著効例では肝発癌が有意に抑制される.特に良好な著効率が得られる2型はPeg-IFN/RBVの良い適応である.1型においては,TVR/Peg-IFN/RBVでは副作用に注意を要し,Peg-IFN/RBVでは治療開始早期の反応性を念頭においた治療が必要である.
索引用語