抄録 |
【目的】我々は血小板減少を伴うC型肝炎に対しPSE併用IFN治療を行っている.その治療効果,合併症などを検討し,PSEの適応と限界を検討した.【対象と方法】当科でIFN治療を施行した1266例の内,血小板数が10万未満の80例をPSE群26例と非PSE群54例に分けて検討した.検討項目1)背景の比較.2)ウイルス量及び型別のSVR率の比較.3)1b-high群とothers群に分け血小板数別にSVR率を比較.4)治療効果別の累積発癌率などを比較.【結果】1)PSE群の血小板数が6.2±1.4,非PSE群が8.5±1.0でPSE群の方が有意に低かった(P<0.0001).年齢,性別,ALT値,AFP値に有意な差はなかった.2)PSE群のSVR率38.5%.1b-highのSVR率25.0%,1b-high以外のSVR率71.4%.非PSE群のSVR率25.9%.1b-highのSVR率11.8%,1b-high以外のSVR率52.6%.PSE群の方が1b-highのSVR率は約10%良好であった.3)1b-high群におけるPSE群5万未満のSVR率は20%,5-10万は30.8%,非PSE群,1b-high群5万未満の症例はなく5-10万のSVR率は11.8%.others群におけるPSE群5万未満のSVR率は100%,5-10万は60%,非PSE群,5万未満の症例はなく5-10万のSVR率は52.6%であった.4)PSE群SVR,TRの累積発癌率は3,5年で42.7,42.7%,NRは0,22.2%でSVR,TRの方が有意に低かった(P=0.0254). PSE群,非PSE群両群ともSVR,TRの方が累積発癌率は良好であった(P=0.0254,0.0275). 【考察】PSEを併用することによりSVR率は38.5%,1b-highにおいてもSVR率25.0%と非PSE群に比べ10%以上上昇させることが出来発癌率も低下した.しかしながらPSEは脾臓を広範囲に壊死させることにより血小板を上昇させる手技であり,そのため合併症も多い.また1b-highでは血小板が5万未満のSVR率は20%と低い.1b-highで血小板が5万未満の症例に対してはIL28-B遺伝子多型などを検討した上でPSE+IFNを考慮すべきと思われた.【結論】PSEはIFN治療における補助的手段として有用である. |