抄録 |
【はじめに】血小板低値のC型慢性肝疾患ではIFN治療のアドヒアランスが悪く治療効果も乏しい.そこで,IFN治療の有効性を高めるために,脾臓摘出術(脾摘)や部分脾動脈塞栓術(PSE)が推奨されている.今回,我々はC型肝硬変へのPEG-IFN/RBV療法施行例を対象に,治療成績と脾摘・PSEの有用性について検討した.【方法】(1)臨床的に肝硬変と診断し,PEG-IFN/RBV療法を施行したC型肝硬変111症例(年齢:45~79歳,性別:男性58例,ウイルス要因:1b(全例高ウイルス量)93例,2a/2b 18例,処置:脾摘32例,PSE 2例,無処置77例)を対象に検討した.(2)全国の施設に対しIFN目的での脾摘・PSE施行症例についてアンケート調査を行った.【結果】(1)1bと2a/2b症例では,SVRは(16%,47%)であった.投与終了した105例中,治療中止は39例で,理由は副作用が21例,non-LVRが11例,肝癌発症が11例,他因死が1例であった.脾摘・PSE(処置例)では,血小板数は6.0±1.5万から16.8±5.2万に改善した.24週までのIFN投与率が80%以上の症例は,処置例では75.9%(22/29),無処置例では治療前の血小板数が11.6±4.0万と高値であったが,43.3%(29/67)に留まった.処置無と有のSVR率は,1bでは17.5%(11/63)と11%(3/25),2a/2bでは40%(4/10)と60%(3/5)であった.1bで処置例のSVRは:IL28B TT型19%(3/16),TG/GG型0%(0/9)であった.(2)血小板数8万以下でアドヒアランスの著しい低下がみられた.脾摘788例中7例(0.89%),PSE474例中4例(0.84%)が死亡しており,死因は9例が感染症関連であった.【結論】脾摘・PSEによりIFN導入が可能となり治療コンプライアンスは向上したが,奏功率は低い結果であった.脾摘・PSEはリスクを伴う処置であり,IFN療法目的で行う場合はHCV側の要因やIL28Bを考慮し適応を検討すべきである. |