セッション情報 ワークショップ1

C型肝炎治療困難例への対策

タイトル W1-7:

生体肝移植後C型肝炎再発に対する治療戦略

演者 池上 徹(九州大学消化器総合外科)
共同演者 調 憲(九州大学消化器総合外科), 前原 喜彦(九州大学消化器総合外科)
抄録 (はじめに)C型肝炎に対する生体肝移植後の肝炎再発はほぼ必発である.しかしその治療は容易ではなく,また施行方式に関しても未だ一定の見解は得られていない.(対象と方法)当科において2011年11月までにC型肝炎に対して生体肝移植を施行した153例を対象とした.当科では,組織学的C型肝炎再発を認めたものにペグインターフェロン・リバビリン療法を行っており,VR後48週継続治療を基本としている.(結果)94例(1型82例,2型12例)にペグインターフェロン・リバビリン療法を行った.治療によるEVR率は20.2%,VR率は58.5%,SVR率は47.8%であった.ペグインターフェロンα-2b・リバビリン療法によりVRが得られなかった症例のうち,17例で二次治療としてα-2a型へのconversionが行い,このうち4例(23.5%)でVRが,3例(17.6%)でSVRが得られた.1b型症例の内,49例でドナー・レシピエントのIL28B-SNP解析が可能であった.IL28B major/major群(n=29)およびmajor含有群(n=20)のSVR率はそれぞれ68.9%および15.0%であった.また,major/major群の内,AA70/91(double wild=1),ISDR(変異2個以上=1),IRRDR(変異6個以上=1)で解析すると,合計ポイント0(n=5),1(n=12),2(n=10),3(n=2)それぞれのSVR率は40.0%,66.7%,80.0%,100%であった.またdelayed VR症例の内,majorは19症例,minorは6症例であるが,major群のSVR率は15/19=78.9%,minor群のSVR率は33.3%であった.また,胆汁鬱滞性肝炎を5例に発症したが,全例で上記治療にてVRが得られた.移植後2週間目のHCV-RNA>7.2 logIU/mLは胆汁鬱滞型再発の危険因子であった.(まとめ)生体肝移植後C型肝炎再発に対するインターフェロン・リバビリン療法の治療成績は向上してきた.特に,IL28B-SNPがmajor/major群ではSVR率が高く,EVRが得られない症例でも継続治療によるSVRが期待できる.
索引用語