セッション情報 ワークショップ1

C型肝炎治療困難例への対策

タイトル W1-11:

PEG-IFN少量長期投与療法の有効性の検討

演者 井出 達也(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門)
共同演者 宮島 一郎(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門), 佐田 通夫(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門)
抄録 【目的】C型慢性肝疾患に対するインターフェロン(IFN)療法は,著効を目指す治療と肝疾患の進展抑制があるが,高齢者やIFN不応例,合併症を持った例では,IFN少量長期療法が選択されることがある.今回,この少量長期療法を行った例を検討した.【対象】対象は当院および関連病院にて,PEG IFNα2aを90μgまたは45μgを1~4週に1回投与し,6ヶ月間以上投与した41例である.平均年令66.1±7.8才,男:女=19:22,平均投与期間は20.1ヶ月,背景肝は慢性肝炎23例および肝硬変例18例,serotypeは1:2=34:6(判定不能1例).肝癌治療歴のある例は11例,IFN治療歴のある例は27例.投与法は,90μg投与では,週1回12例,10日に1回3例,2週に1回7例,3週に1回2例,4週に1回16例であり,90μgと45μgを交互に2週に1回の例が1例であった.【結果】ALT値(IU/L),AFP値(ng/ml),HCV RNA量(logIU/L)は,それぞれ86±59(治療前)→43.4±35.5(観察最終時または投与終了時),106.8±512.5→9.8±18.2,5.6±1.4→4.4±2.7へ低下した.ALT値正常化率は46%(17/37)であった.血小板数(x104/mm3),白血球数(/mm3),アルブミン値(g/dl)は12.3±6.1→12.3±2.7,3906±1364→3935±1203,3.9±0.5→3.9±0.5と変化を認めなかった.HCV RNA陰性化率はserotype1で14%(5/35),serotype2で83%(5/6)であり,著効をserotype1と2に1例づつ認めた.肝癌の新規発生は10%(3/30)に,肝癌の再発は55%(6/11)に認めた.IFNを1~2週毎に投与した例と,3~4週毎の例を比較すると,ALT値正常化率はそれぞれ57%,31%であった(P=0.18)が,HCV RNA陰性化率は39%,6%と1~2週毎に投与した例が高かった(P=0.025).治療中止の理由(21例)は,健康保険上の理由7例,肝癌再発3例などであった.【結論】少量長期投与により,ALT値やAFP値の低下を認め,その正常化を来す例もあり,著効例やHCV RNA陰性化例も認められた.一方で,血小板数,白血球数,アルブミン値の低下は少なく,肝疾患の進展抑制に寄与する安全な治療法と考えられた.
索引用語