セッション情報 ワークショップ1

C型肝炎治療困難例への対策

タイトル W1-12:

C型肝炎治療困難例に対する瀉血療法,IFN-β療法,脾摘/PSE後のPEG-IFN療法の検討

演者 川部 直人(藤田保健衛生大学肝胆膵内科)
共同演者 橋本 千樹(藤田保健衛生大学肝胆膵内科), 吉岡 健太郎(藤田保健衛生大学肝胆膵内科)
抄録 【目的】C型肝炎では貧血,血小板減少,高齢,うつ等のため通常のペグインターフェロン(PEG-IFN)やリバビリン(RBV)を含む治療が困難な症例も少なくない.本研究ではC型肝炎治療困難例について検討した.【方法】当院のC型慢性肝炎~肝硬変症例のうち,瀉血療法を施行した25例,IFN-β療法を施行した10例(8例でRBV併用;血小板低値7例,うつ3例),脾臓摘出術(脾摘)または脾動脈塞栓術(PSE)後にPEG-IFN療法を施行した10例(9例でRBV併用)について検討した.【成績】瀉血によりフェリチン(303.5±369.6→46.0±42.0μg/dl,P=0.0032),血清鉄(149.0±42.2→96.7±58.2ng/ml,P=0.0011),AST(68.6±37.8→49.5±25.8IU/L,P<0.0001),ALT(80.0±53.8→49.1±34.9IU/L,P<0.0001),γ-GTP(81.3±75.7→55.3±38.5IU/L,P=0.0078),albumin(4.2±0.4→4.0±0.5g/dl,P=0.0062)は有意に低下し,AFP(24.0±31.7→14.3±11.4ng/ml,P=0.0910)とPIVKA-II(19.5±7.0→16.5±6.8mAU/ml,P=0.0515)は低下する傾向を示した.肝硬度(ARFI)を測定した10例で肝硬度は有意に上昇(1.6±0.4→2.1±0.8m/s,P=0.0111)していた.IFN-β施行例はgenotype 1型8例,2型2例で,AST(80.0±60.0→39.9±26.0IU/L,P=0.0316),ALT(86.0±57.0→33.0±22.0IU/L,P=0.0093),Hb(13.2±1.4→12.0±1.0g/dl,P=0.0062)が有意に低下していた.うち血小板低値例は,血小板5.9-8.7万(7.3±0.9万)であったが治療を継続できた.2型2例がSVRとなったが,1型でSVR例はみられなかった.脾摘/PSE例は1型8例(SVR 2例),2型2例(SVR 1例)であった.【結論】瀉血により肝障害が軽快し腫瘍マーカーも低下する傾向を示したが,肝予備能低下や肝線維化進展に注意が必要と考えられた.C型肝炎治療困難例では瀉血,IFN-β,脾摘/PSEを組み合わせることにより病状の維持や改善が期待できると考えられた.
索引用語