セッション情報 |
ワークショップ1
C型肝炎治療困難例への対策
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タイトル |
W1-13:当科におけるC型慢性肝疾患に対する瀉血療法の実際
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演者 |
島上 哲朗(金沢大学附属病院消化器内科) |
共同演者 |
酒井 明人(金沢大学附属病院消化器内科), 金子 周一(金沢大学附属病院消化器内科) |
抄録 |
【目的】C型慢性肝疾患に対する瀉血療法はALT値,AFP値改善など対処療法として重要であるが,新規薬剤使用可能となった現在での再評価が必要である.【方法】当科において6カ月以上瀉血療法を行った14症例(男12例,女2例,瀉血開始時平均年齢58.1歳)をretrospectiveに検討した.瀉血療法は原則月に1回200~400cc行い,低鉄食指導を併用し,フェリチン値20ng/mL未満を目標に瀉血を繰り返し,経過を見ながら維持した.【結果】瀉血療法を行った理由としては次期抗ウイルス療法までの対処療法として選択が7例,IFN困難・長期瀉血希望7例であった.ほぼ全例でウルソデオキシコール酸が併用されていたが,グリチルリチン製剤併用は少数であった.投与前平均ALT115IU/L,フェリチン467ng/mLの14症例に瀉血療法を行い3カ月後平均ALT60IU/L(p<.01),フェリチン149ng/mL(p<.01),6ヶ月後ALT58IU/L(p<.01),フェリチン39ng/mL(p<.01),12か月後ALT53IU/L(p<.05),フェリチン25ng/mL(p<.01)と瀉血療法によりALT値に有意な改善が認められた.特に瀉血前ALT100IU/L未満であった7例中6例で瀉血後ALT40IU/L未満まで改善が認められた.また瀉血療法前AFP10ng/mL以上であった8例の内6例で瀉血療法後にAFP10ng/mL未満となった.瀉血療法後にIFN療法を行った3例を除く11例で平均4.8年瀉血療法を行い,内3例(27.3%)で肝がん発症を認めた.3例中2例は瀉血療法前より肝硬変であり,肝硬変3例からの肝がん発症は2例(66.7%)であった.【結語】瀉血療法は肝硬変を含むC型慢性肝疾患症例においてIFN療法困難例,次期抗ウイルス療法待機例などにおいてALT値およびAFP値改善が明らかに認められた.特に瀉血療法開始前ALT100IU/L未満,AFP値軽度高値の症例では治療後ALT正常化,AFP10ng/mL未満が達成されていた.当科の検討では組織進行例に対して肝発がん抑制は認められなかったが多数症例での検討が望まれる. |
索引用語 |
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