セッション情報 | ワークショップ2HBVジェノタイプとB型肝炎の病態 |
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タイトル | W2-2:B型肝炎ウイルス成人初感染例の慢性化に関する検討 |
演者 | 道堯 浩二郎(愛媛県立中央病院消化器病センター) |
共同演者 | 徳本 良雄(愛媛大学先端病態制御内科学), 平岡 淳(愛媛県立中央病院消化器病センター) |
抄録 | 【目的】成人のB型肝炎ウイルス初感染慢性化例の特徴を明らかにする. 【方法】対象は1998年から2011年に経験した初感染B型肝炎28例(男17例,女11例,18~84歳,劇症肝炎6例).初感染の基準は,HBc抗体低力値陽性かつIgM型HBc抗体陽性,または過去にHBs抗原陰性が確認された例でのHBs抗原陽性化.慢性化の基準を発症6カ月以上HBs抗原陽性とし,臨床像とgenotypeを検討した. 【成績】顕性急性肝炎は26例で,2例は明瞭な急性肝炎徴候がなかった.genotypeはA 3例,B1例,C18例,D2例,不明4例であった(劇症化例はC4例,D1例,不明1例).慢性化は3例で,2例はgenotype C(症例1:28歳,女,性感染,不顕性,症例2:84歳,男,感染経路不明,顕性),1例はgenotype D(症例3:20歳,女,性感染,不顕性)で,3例とも過去にHBs抗原陰性が確認されている.症例1と2は,それぞれ診断後4年と8カ月でHBe抗原陽性が持続,症例3は発症半年でHBe抗原陽性,肝生検で慢性肝炎(F1/A2)でありインターフェロン治療でHBs抗原は陰性化した.とらえられたALTの最高値はそれぞれ44,466,186 IU/Lで3例とも黄疸はなく,HIV抗体は陰性,免疫抑制剤投与や重篤な基礎疾患もなかった.非慢性化例のうち劇症肝炎を除く急性肝炎19例のALT最高値は2418±1136 IU/Lで慢性化例に比べて高かった(p<0.01).症例1のHBVの全塩基配列を検討して分子系統樹解析を行ったが,他のHBVと大差なかった.顕性肝炎例で慢性化例はなかったが,genotype Cの2例でHBV-DNAが陰性化後,それぞれ18カ月後と8カ月後に微弱ながら再度陽性を示した. 【考察と結語】genotype C,Dの成人初感染3例で慢性化がみられた.うち2例は急性肝炎の徴候が不明瞭で,genotypeにかかわらず感染時の反応の軽微な例では慢性化しうる可能性が示唆された. |
索引用語 |