セッション情報 ワークショップ2

HBVジェノタイプとB型肝炎の病態

タイトル W2-4:

HBVジェノタイプの最近の動向と病態との関連

演者 伊藤 清顕(愛知医科大学消化器内科学)
共同演者 溝上 雅史(国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター)
抄録 【目的】厚労省研究班「B型肝炎ジェノタイプA型感染の慢性化など本邦における実態とその予防に関する研究」において,B型慢性肝炎の全国調査を行い,本邦のB型慢性肝炎におけるHBVジェノタイプの最近の動向と病態との関連を明らかにした.【方法】全国の研究協力施設より,2010年8月から2011年7月までの1年間に各施設を受診しHBVジェノタイプが明らかとなったHBVキャリア4,182例を収集し解析を行った.また,血清の収集が可能であった407例に関してはウイルス学的な解析も行った.【成績】4,182例のHBVキャリアの病態はASC:1,345例(32.2%),CH:2,121例(50.7%),LC:314例(7.5%),HCC:402例(9.6%)であった.HBVジェノタイプの内訳と平均年齢はg-Aが151例(3.6%),42.4±13.1歳,g-Bが734例(17.6%),56.1±14.2歳,g-Cが3,268例(78.1%),50.9±13.8歳,g-Dが25例(0.6%),40.4±10.7歳,その他のジェノタイプが6例(0.14%)であり,g-Aとg-Dで若年症例を多く認めた(p<0.0001).G-Aの病態の内訳としてASC:46.0%,CH:49.3%,LC:1.3%,HCC:3.3%であり,g-BではASC:53.9%,CH:38.6%,LC:2.6%,HCC:4.9%,g-CはASC:26.3%,CH:53.7%,LC 8.9%,HCC:11.0%,g-DはASC:64.0%,CH:32.0%,LC:4.0%,HCC:0とg-Cにおいてより病態が進行した症例を高頻度に認めた(p<0.0001).ウイルス学的な解析が可能であった407例においてcore promoter double mutation(CP変異),precore stop codon(PC変異)を調査したところ,CP変異に関しては変異型の割合がASC:68.5%,CH:70.0%,LC:91.7%,HCC:84.6%と病態進行例でCP変異を高頻度に認めた(p=0.006).一方でPC変異に関しては有意差を認めなかった.【結論】HBVキャリアにおいて,g-AおよびDでg-B,Cと比較して若年症例が多く,g-C症例においてg-A,B,Dと比較してより病態が進行した症例を高頻度に認めた.CP変異は肝病態進行例に高頻度に認められ,病態の進行との関連が考えられた.
索引用語