セッション情報 |
ワークショップ2
HBVジェノタイプとB型肝炎の病態
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タイトル |
W2-6:HBe抗体陽性無症候性キャリアにおけるHBVジェノタイプの影響
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演者 |
新井 誠人(千葉大学医学部消化器内科) |
共同演者 |
今関 文夫(千葉大学医学部消化器内科), 横須賀 收(千葉大学医学部消化器内科) |
抄録 |
【目的】以前にはHBeAg陽性慢性肝炎患者からHBeAb陽性慢性肝炎に移行し,さらに無症候性キャリアになると考えられていたが,近年,落ち着いたHBeAb陽性無症候性キャリアの状態から再度活動性を有するHBeAb慢性肝炎に再燃する症例があることが報告されている.本検討では,HBVジェノタイプの無症候性キャリアへの影響を検討し,本邦における無症候性キャリアの実態を明らかにすることを目的とした.【方法】2010年8月から2011年7月までに千葉大学医学部附属病院を受診し,1年後も外来でフォローしているHBVキャリア477名(平均年齢50.5±13.2歳,男性272名 女性205名)を対象とした.(1)無治療にてALTが2年連続して30IU/L以下で,かつ肝細胞癌を認めない症例を無症候性キャリア(ASC)と定義し,HBVジェノタイプとの関連性を検討した.(2)後向きコホート研究として,2001年時点でASCと判断された症例の予後についても検討した.【成績】(1)現在通院中の症例のうち,HBe抗体陽性のASCと判断された症例は164例であった.ジェノタイプ(A/B/C/D/判定保留もしくは検出不可,以下同様)は,11/40/101/1/11例であり,核酸アナログ製剤を投与中の213例(5/21/181/0/6例)と比較すると,ASCの症例において,ジェノタイプA,Bの症例が有意に多く見られた(カイ2乗検定,p<0.05).(2)2001年時点でASCと判断された症例は83例みられ,ジェノタイプは,5/16/54/1/7例であった.2011年までの10年間に,肝細胞癌は1例でみられ,ALTが31IU/L以上かつHBV DNA量が3.0Logコピー/mL以上となった症例は7例認めた.これら8例中,7例はジェノタイプCであり,4例で核酸アナログが開始された(全例ジェノタイプC).【結論】HBe抗体陽性ASC症例において,ジェノタイプA,Bが多くみられ,またASCの状態の維持についても,ジェノタイプ間の差が示唆された.一般にASC症例の予後は良好とされるが,ジェノタイプによる違いも考慮したフォローアップが必要である. |
索引用語 |
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