セッション情報 ワークショップ2

HBVジェノタイプとB型肝炎の病態

タイトル W2-7:

当院におけるB型肝炎ウイルス感染患者のHBVジェノタイプと病態について

演者 新海 登(名古屋市立大学病院消化器代謝内科学)
共同演者 松浦 健太郎(名古屋市立大学病院消化器代謝内科学), 田中 靖人(名古屋市立大学病態医科学)
抄録 【対象/方法】2000~2012年までに当院受診した急性B型肝炎34例,慢性B型肝炎432例を対象にHBVジェノタイプを測定し,病態との関連を検討した.【結果】1.急性肝炎ではHBV A/B/Cは2000~2005年は3/1/4,2006~2010年は8/2/11,2011~2012年は5/0/0と近年HBV/Aの患者が増えている.慢性化症例は8例あり,すべてHBV/Aであった.2.慢性B型肝炎においてジェノタイプはHBV/A/B(Ba/Bj)/C/D/E=19(4.3%)/48(12/36)(11.1%)/358(82.8%)/6(1.3%)/1(0.002%)であった.3.HBV/Aの患者は,HBV/Cに比べ有意差をもって男性が多く,(16/19(84.2%)vs 186/358(52.5%);p<0.05)また,HBV/BjやHBC/Cの患者に比べて有意差をもって年齢が若かった(35±10.4 vs. 47±14/43.5±13.8;p<0.05).また,HBV/BaもHBV/Bjに比べて有意差をもって年齢が若かった(38.3±10.3 vs. 49.9±14;p<0.05).4.肝硬変はHBV/A/Ba/Bj/HBV/Cでそれぞれ0/19(0%),1/12(8%),2/36(6%),46/358(12.9%)であった.5.治療前/初診時のデータでは血小板はHBV/AでHBV/Cに比べて多い傾向にあった.(20.3±4.4 vs 17.7±6.1;p=0.0798)HBV/BjでHBV/Cに比べて有意に多かった.(20±5 vs 17.7±6.1;p<0.05)6.また治療に関しては経過中に核酸アナログ(NA)を投与した症例はHBV/CがHBV/Bjに比べて有意に多かった(176/358(49.2%)vs. 12/36(33.3%);p<0.05).7.経過中の発癌に関しては,HBV/Aでは肝癌は見られなかった.HBV/Bj,HBV/Ba,HBV/Cの肝癌診断時の年齢の平均は65.4±6.5,55,59.4±11.5であった.HBV/CはHBV/Bjに対して肝発癌が多かった(47/358(13.1%)vs. 2/36(5.6%)).HBV/Cでは若年でも肝発癌が見られた(30-39歳 4/85(5%),40-49歳 3/79(4%)8.NAを13ヶ月以上投与しているなかで12例が発癌を認めた(HBV/Ba 1例 HBV/C 11例).【考察】HBV/Cの患者はNA投与の適応になる症例が多く,肝発癌のリスクも高い.また,HBV/Bに関してもBa悪性度が高く,Bjとは分けて検討する必要がある.
索引用語