セッション情報 ワークショップ2

HBVジェノタイプとB型肝炎の病態

タイトル W2-8:

当院におけるHBVジェノタイプとB型肝炎の病態

演者 和田 望(岡山大学消化器内科)
共同演者 池田 房雄(岡山大学消化器内科), 山本 和秀(岡山大学消化器内科)
抄録 (目的)B型肝炎ウィルス(HBV)のジェノタイプは日本国内でも地域によって頻度にばらつきがある.そこで我々は当科におけるB型肝炎患者のジェノタイプと病態について検討し,ジェノタイプの違いによる病態の違いを明らかにすることを目的とした.(方法)2011年に当科の外来を受診または入院加療を受けられ,HBs抗原陽性を確認したB型肝炎ウイルス持続陽性者291例をジェノタイプ別に分類し,年齢・性別・肝硬変(LC)への進行度や肝細胞癌(HCC)発癌,臨床データ(Plt・AST・ALT・ALP・γ-GTP・T-Cho・ChE・AFP・HBeAb・HBV-DNAなど)および治療内容について比較検討を行った.(結果)HBVジェノタイプAが4例(1.4%),Bが17例(5.8%),Cが236例(81%),Dが1例(0.3%),判定不能が33例であった.年齢別では30歳未満ではAが2例でCが10例,30歳~60歳ではAが2例でBが10例でCが161例でDが1例,61歳以上ではBが7例でCが65例と年齢によりジェノタイプの頻度が有意に異なった.進行度では慢性肝炎が175症例でLCが67例でHCC発症例が16例であったがジェノタイプ別では進行度に有意差はみられなかった.年齢別では高齢層の方が有意にLC・HCCへ進行している症例が多かった.ジェノタイプで臨床データに有意差はみられなかった.ジェノタイプA症例についてはサブタイプAeが2例,Aaが2例で,Aaの1例は画像上肝硬変への進行が疑われたが,いずれもHBe抗体陽性で肝機能は持続正常な症例だった.(考察)今回の検討ではHBVジェノタイプはAが若年層に多くB・Cが高齢層に多い傾向にあったが病態の進行度や臨床データに明らかな有意差はみられなかった.
索引用語