セッション情報 ワークショップ2

HBVジェノタイプとB型肝炎の病態

タイトル W2-10:

当施設におけるHBVジェノタイプの頻度とジェノタイプ別の肝組織所見の比較

演者 樋口 晃久(日本大学消化器肝臓内科)
共同演者 松村 寛(日本大学消化器肝臓内科), 森山 光彦(日本大学消化器肝臓内科)
抄録 HBV genotype間の臨床病態の差異については既に多数の報告がある.Genotype CがBに比較して肝内の壊死炎症反応が強くIFNの効果がB型に比較して低いことなどが報告されている.またGenotypeA型の頻度が最近増加しており,genotype間での臨床病態の差異についての詳細な再検討が必要である.我々の施設における急性肝炎および慢性肝炎のgenotypeの頻度を検索し,さらにgenotype間における肝組織所見の差異について検討した.[対象と方法]AH;57例,CH;99例,LC;15例についてPCR法を用いてgenotypeを決定した.AHについては平成20年前後でのgenotypeの頻度を比較した.CH74例についてgenotype別に肝組織所見をスコア化して比較した.[結果]Genotypeの頻度は,AHでは平成19年以前はA;29.6/B;18.5/C;48.1(%);20年以後 A;58.6/B;6.9/C;34.5%であり,A型の頻度が増加した.以前に比べると女性の罹患例が減少し,特にA型は圧倒的に男性に多く年齢は若い傾向が認められた.また入院時HBV DNA量はA型が高い傾向が見られた.CHでは,CH;A;3.0/B;10.1/C;86.9,LC;6.7.13.3/80であった.CH例についてのみsubgenotypeを検索すると,Ae;1例(4.0%),Ba;1例(4.0%),Bj;10例(24.1%),C1;3例(10.2%),C2;53例(74.1%)であった.各genotype別の肝組織所見の平均スコアの比較は,リンパ球浸潤の程度としてperiportal area:genotypeA,B,Cは2.5,2.25,2.13,parenchymal area:2.25,2.38,2.13,portal area:2.25,2.38,2.32であった.F stageの平均スコアは2.0,2.25,2.1,perivenular fibrosis:0. 0.5,0.72,pericellular fibrosis:0,0.5,0.56であった.いずれも各群間には有意差は見られなかった.肝細胞不規則再生の程度には各F stage別には差異は認められなかった.[まとめ]当施設においてもgenotype A型の頻度が増加していた.各genotype別には肝組織所見には差異が認められなかった.
索引用語