セッション情報 ワークショップ2

HBVジェノタイプとB型肝炎の病態

タイトル W2-11:

首都圏におけるHBV genotypeの変遷とHBs抗原消失率の検討

演者 小林 万利子(虎の門病院肝臓研究室)
共同演者 鈴木 文孝(虎の門病院肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院肝臓センター)
抄録 【目的】今回我々は,首都圏のHBV genotypeについて再考しさらに治療法別HBs抗原消失の頻度を検討した.【対象・方法】対象は,71-2010年までに当科を受診しGenotypeを判定できた4914例とした.内訳:M 3509例,年齢MED 38歳,AH 167例(3%)CH 4074例(83%)LC 416例(9%)HCC 257例(5%),s抗原消失の解析はKaplan-Meier法を用いた.【成績】1.A:212例(4%),B:630例(13%),C:4057例(83%),D:9例(0.2%),F:3例(0.06%),H:3例(0.06%)であった.2.疾患別 AHは,A:51例(31%),B:16例(10%),C:98例(59%),D:1例(0.6%),H:1例(0.6%),CHは,A:155例(4%),B:581例(14%),C:3326例(82%),D:7例(0.2%),F:3例(0.07%),H:2例(0.05%),LCは,A:4例(1%),B:22例(5%),C:389例(94%),D:1例(0.2%),HCCは,A:2例(0.8%),B:11例(4%),C:244例(95%)であった.3.年度別 Aは,71-75年には1例も認めず,76-90年までは2-3%で推移していたが,91年以降5-7%へ増加し06-10年では8%であった.Bは,71-05年までは11-14%(81-85年のみ9%)で推移していたが,06-10年は17%であった.Cは,いずれの年代も最も多く75-89%であった.外国株であるDとHが01年以降に認められ始めごく少数ながら0.1-0.4%であった.Fは,86-2000年までの間に認められ0.1-0.2%とごく少数であった.4.HBs抗原消失率 無治療1130例:5年目までA:14%,B:12%,C:7%とAが最も高率でついでBであったが(P=0.073),長期経過になると差はなかった.IFN 615例:5年目A:31%,B:9%,C:4%,10年目A:45%,B:19%,C:10%,15年目A:45%,B:32%,C:35%,20年目A:45%,B:35%,C:47%であり,Aは他のgenotypeに比し有意(P=0.012)に高率であった.Lamivudine 703例:5年目A:34%,B:0%,C:2%,10年目A:34%,B:11%,C:6%,15年目B:41%,C:24%(P<0.000)であった.【結語】2001年以降に外国株のHがCHで認められ今後,外国株のgenotypeの病態が注目された.HBs抗原の消失は,IFN治療が最も高率でgenotype AついでBであり,Cが低率であった.
索引用語