セッション情報 ワークショップ2

HBVジェノタイプとB型肝炎の病態

タイトル W2-13:

遺伝子型B,C型の病期別背景因子の比較と肝発癌の検討

演者 小関 至(札幌厚生病院第3消化器科)
共同演者 狩野 吉康(札幌厚生病院第3消化器科), 豊田 成司(札幌厚生病院第3消化器科)
抄録 【目的】遺伝子型別のB型慢性肝疾患の臨床像を明らかとする.【方法】B型慢性肝疾患と診断した遺伝子型B型241例,C型890例を対象とし,肝炎の病期別(免疫寛容期;I期,e抗原陽性肝炎期;II期,e抗原陰性肝炎期;III期,非活動性キャリア期;IV期)に背景因子を比較した.次に,初診より5年以上経過例を対象として,Kaplan-Meier法で肝発癌率を検討し,肝発癌に関連する因子をCoxの比例ハザードモデルを用いて解析した.年齢,性,背景肝病変,家族歴,IFN投与歴,アルコール,脂肪肝の有無,HBe抗原,HBs抗原量,コア関連抗原量,PreC変異,BCP変異,HBV DNA,AST,ALT,γGT,AFPを共変量として用いた.遺伝子型はPCR Invader法あるいはEIA法を用いた.【成績】1)病期別検討 遺伝子型B型では,I期,II期,III期,IV期で,それぞれ,1例(0.4%),14例(5.8%),96例(39.8%),130例(53.9%),C型では同様に,20例(22.5%),282例(31.7%),369例(41.5%),219例(24.6%)であった.遺伝子型B型,C型いずれも病期の進行に伴い,HBs抗原量,HBV DNA量,HBe抗原陽性例の割合は減少した.PreC wildの割合は,遺伝子型B型では,I期,II期,III期,IV期で,それぞれ,0%,42.9%,13.5%,10.0%,遺伝子型C型では,同様に80.0%,74.5%,25.5%,15.1%であった.BCP wildの割合は,遺伝子型B型で,100%,57.1%,60.4%,64.6%,遺伝子型C型では,55.0%,16.7%,9.8%,17.4%であった.2)累積肝発癌率5年,10年,15年,20年で遺伝子型B/C型でそれぞれ,5%/8%,6%/20%,13%/31%,18%/38%で有意に(log-rank test p=0.023)C型で発癌率が高かった.肝発癌に関連する有意な因子(ハザード比,95%CI)は年齢(1.07,1.04-1.11),男性(3.03,2.19-3.86),血小板(0.90,0.83-0.97),BCP mutant(3.42,2.26-4.58)であった.【結論】病期の進行に伴い,PreC mutantは増加し,遺伝子型B型ではBCP wildは微増,C型では,逆にBCP mutantが増加した.遺伝子型C型はB型と比して,有意に肝発癌が認められた.
索引用語