セッション情報 ワークショップ2

HBVジェノタイプとB型肝炎の病態

タイトル W2-15:

HBV遺伝子型別での核酸アナログ治療反応性の検討

演者 相澤 摩周(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器肝臓内科)
共同演者 石川 智久(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器肝臓内科), 田尻 久雄(東京慈恵会医科大学内科学講座消化器肝臓内科)
抄録 【目的】近年,核酸アナログ製剤(NA)によりB型肝炎の予後は大きく改善している.B型慢性肝疾患へのNA療法の治療反応性を検討しGenotype(Gt)による病態の差異を検証した.【対象】2001年から12年5月までにHBV遺伝子型を確認した262例(慢性肝炎215例,急性肝炎47例)中,NA(Lamivudine:LAM,Adefovir:ADV,Entecavir:ETV)を1年以上投与したB型慢性肝炎105例(46±11歳,男性87例,女性18例)を対象とした.Gt別に血液生化学検査値,ウイルス量の推移と肝発癌の有無を検討した.【結果】対象でのGtは,GtA 28例(10.7%),GtB 21例(8.0%),GtC 207例(79.0%),GtD 3例(1.1%),GtE 1例(0.3%),GtF 2例(0.8%)であった.平均年齢(y±SD)は,GtA 47±10,B 54±12,C 46±11であった.男性がGtA100%,B 77%,C 81%と男性優位であった.NA種別ではLAM:GtA 2例,LAM+ADV:Gt A1例,B 2例,C 11例,ETV:GtA 5例,B11例,C72例.ETV+ADVはGtCの1例であった.投与観察期間の中央値(M)はGtA41(13-74),B 27(14-81),C 55(12-110).HBV-DNA陰性化率はGtA100%,B85%,C79%.LAM,ETV治療群のHBV-DNA陰性化時期(M)はGtA 6.0(1.6-23.5),B 3.6(0.8-10.1),C 5.8(0.9-30.4)であった.また,ALT(<35IU/L)正常化はGtA75%,B62%,C89%で確認された.GtCの2例にETV投与後それぞれ11ヶ月,12カ月にviral breakthroughを認めた.HBsAg<2000 C.O.I(CLEIA法)は,GtA2例(25%),B2例(15%),C9例(11%),HBcrAg陰性はGtA2例,B7例,C6例で確認された.上記2項目を共に満たすのはGtA 1例,B 2例,C 1例であった.肝細胞癌発症はGtB 2例(15%),C 20例(24%)に認めた.【結語】NA療法の治療反応性はGt間に有意な差はなく良好であった.HBsAg,HBcrAgの陰性化例がGtBで比較的多く,Gt間での病態の差異が示唆された.
索引用語