セッション情報 |
ワークショップ2
HBVジェノタイプとB型肝炎の病態
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タイトル |
W2-16:薬剤耐性B型肝炎ウイルスに対するテノホビルの抗ウイルス効果とGenotypeによる相違の検討
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演者 |
村上 英介(広島大学大学院消化器・代謝内科) |
共同演者 |
柘植 雅貴(広島大学大学院消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大学大学院消化器・代謝内科) |
抄録 |
【目的】B型慢性肝炎治療において,核酸アナログ製剤の長期投与は不可欠であるが,B型肝炎ウイルス(HBV)を完全に排除できるものではないことから,長期投与に伴う薬剤耐性HBVの出現が問題となっており,その耐性獲得頻度は,HBVのGenotype間で異なると報告されている.本検討では,in vitroにおける薬剤耐性HBVへのテノホビル(TDF)の抗ウイルス効果とGenotypeによる薬剤感受性の違いについて比較検討した.【方法】Genotype AないしC感染患者血清より,HBV発現プラスミドをクローニングした後,RT領域に薬剤耐性変異を加え,薬剤耐性HBV発現プラスミドを作製した.同プラスミドをHepG2細胞にトランスフェクションした後,TDFを添加.72時間後に細胞を回収.細胞内のHBV複製中間体量を測定することで,TDFの抗ウイルス効果を評価した.【結果】野生株での検討では,低濃度のTDFによる抗ウイルス効果はgenotype A,C間で有意な差は認められなかったのに対し,高濃度(10μM)のTDFを添加した場合には,genotype Aにおいて有意にTDFへの感受性が低下した(P<0.05).TDF耐性と報告されているrtA194T変異株を用いた検討では,野生株とほぼ同等の抗ウイルス効果が認められ,genotype間でも有意な差は認められなかった.アデホビル耐性とされるrtN236T変異株を用いた検討では,いずれのgenotypeにおいても感受性は低下したものの,特にgenotype AにおいてTDFに対する感受性低下を認めた(P<0.05).さらに,ラミブジン耐性であるrtA181Tを加えたA181T/N236Tの二重耐性株でも,同様にTDFに対する感受性が低下した(P<0.05).【結論】genotype Aでは,genotype Cに比べ,わずかではあるが,TDFに対する感受性が低いことが示唆された.また,rtN236T変異は,TDFによる抗ウイルス効果を減弱させることから,TDFに対する耐性変異である可能性が示唆された. |
索引用語 |
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