セッション情報 ワークショップ3

B型肝炎ウイルスの再活性化の現状と対策

タイトル W3-2[追加]:

長期観察によるHBV再活性化頻度と治療介入例の予後

演者 田守 昭博(大阪市立大学大学院医学研究科肝胆膵病態内科学)
共同演者 榎本 大(大阪市立大学大学院医学研究科肝胆膵病態内科学), 河田 則文(大阪市立大学大学院医学研究科肝胆膵病態内科学)
抄録 【目的】HBV再活性化は多領域の診療に及ぶことが明らかにされ今後,各病態に応じたモニタリング法が必要である.さらに核酸アナログ介入例についても長期効果を明らかにする必要がある.そこで今回,関節リウマチ(RA)症例とエンテカビル(ETV)治療介入例について当施設の現状を解析した.【対象と方法】我々は2007年から前向きにHBV DNAモニタリングを実施している.登録された167例の内,HBs抗原陰性HBc抗体陽性のRA症例とETV治療を開始した症例を対象とした.検討1:2012年6月以前に生物学的製剤を導入したRA症例71例について2-3ヶ月毎にHBV DNAを測定し再活性化の観察期間別頻度を調査した.検討2.ETV投与を実施したHBs抗原陽性13例(血液疾患6,RA5,腎移植2)とHBV再活性化6例(造血幹細胞移植3,悪性リンパ腫3)について長期効果を検討した.【成績】検討1:4年以上観察例12例,3-4年観察例15例,2-3年観察例8例,1-2年観察例22例,1年未満観察例は14例であり一例もHBV再活性化を認めなかった.長期観察例に共通する臨床背景(HBs抗体価や使用薬剤等)は特定できなかった.検討2:HBs抗原陽性例の治療前HBV DNAは(定量未満2例,2.3-8.5 Log),治療期間(3-56ヶ月)でありETV開始後ウイルス量は定量未満に減少し原疾患の治療を遂行している.HBV再活性化例の治療前HBV DNA量は(3.1-6.7 Log),観察期間(14-54ヶ月)でありETV治療にて重篤な肝炎は発症していない.悪性リンパ腫3例では原疾患の治癒後1年以上ETV治療を継続し,HBs抗原持続陰性を確認後に投薬を中止.その後にHBV再燃は認めていない.【結語】HBs抗原陰性RA患者では4年以上HBV再活性化が起こらない症例が存在した.HBs抗原陽性例においてもETV介入により原疾患の治療が安全に実施継続できた.
索引用語