セッション情報 ワークショップ3

B型肝炎ウイルスの再活性化の現状と対策

タイトル W3-3:

関節リウマチにおけるB型肝炎の適切なスクリーニング時期

演者 浦田 幸朋(つがる西北五広域連合西北中央病院リウマチ科)
共同演者
抄録 【目的】関節リウマチ(RA)におけるB型肝炎抗体価の推移を明らかにし現状における最も適切なスクリーニング時期につき検討する.【方法】HBs抗原,HBs抗体,HBc抗体(CLIA法)を測定したRA患者405名の2年後のHBs抗原,HBs抗体,HBc抗体を測定する.【成績】2年後まで追跡できたRA患者は375名(女性307名,平均年齢58.2,罹病期間中央値36ヶ月)であり,登録時にはHBV未感染259名,既往感染110名,キャリア6名と診断された.2年後には同278名,90名,7名(p<0.0001)と推移した.HBV感染(HBVキャリア+既往感染)診断の感度は97.4%から81.5%に低下した.登録時にHBs抗体陽性/HBc抗体陽性の69名は2年後にHBs抗体陽性/HBc抗体陽性64名,HBs抗体陽性/HBc抗体陰性2名,HBs抗体陰性/HBc抗体陽性3名に,登録時にHBs抗体陽性/HBc抗体陰性の13名は2年後にHBs抗体陽性/HBc抗体陰性10名,HBs抗体陰性/HBc抗体陰性3名へ,HBs抗体陰性/HBc抗体陽性28名は2年後,HBs抗体陽性/HBc抗体陽性2名,HBs抗体陰性/HBc抗体陽性7名,HBs抗体陰性/HBc抗体陰性19名へ推移した.登録時に未感染と診断された259名は2年後HBs抗原陽性1名,HBs抗体陰性/HBc抗体陽性2名,HBs抗体陰性/HBc抗体陰性256名に推移した.HBs抗体陰性化例から2名,HBc抗体陰性化例から1名のHBV再活性化を認めた.HBs抗体が陰性化した症例は陰性化しなかった症例と比較して有意に登録時の医師全般評価が低く(5.3±4.3 vs 11.1±7.0,p=0.0263),HBs抗体値が低く(15.8±5.8 vs 278.1±270.0,p=0.0129),登録時AST値が高かった(59.0±38.9 vs 27.5±16.0,p=0.0495).HBc抗体が陰性化した症例は陰性化しなかった症例と比較して有意に抗リウマチ薬の使用が少なく(38.1% vs 61.8%,p=0.0483),登録時のHBs抗体値と(4.3±19.1 vs 238.9±268.6,p<0.0001),登録時のHBc抗体値が低かった(2.5±1.9 vs 9.6±11.8,p<0.0001).【結論】RAにおけるHBVスクリーニングは早期に行う事が望ましい.罹病期間が長いRAに対するスクリーニングについては今後の検討が必要である.
索引用語