セッション情報 |
ワークショップ3
B型肝炎ウイルスの再活性化の現状と対策
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タイトル |
W3-5:免疫抑制・化学療法施行により発症するB型肝炎対策の当院の現状
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演者 |
中村 とき子(国立病院機構北海道がんセンター消化器内科) |
共同演者 |
藤川 幸司(国立病院機構北海道がんセンター消化器内科), 高橋 康雄(国立病院機構北海道がんセンター消化器内科) |
抄録 |
【目的】化学療法・免疫療法・移植治療によるHBV再活性化が問題となっているが,固形腫瘍を含めた報告は少ない.化学療法における当院のHBV再活性化対策の現状について検討した.【方法】2009年4月から2012年6月まで当院で化学療法を施行した固形腫瘍1015例(消化器内科237,呼吸器内科181,乳腺外科488,消化器外科16,婦人科51,腫瘍整形外科24,泌尿器科11,頭頸部外科1)と血液疾患185例の計1200例を対象とし,後ろ向きに検討した.【結果】1.HBs抗原(+)3.8%(46/1200),HBs抗原(-)91.4%(1097/1200)であった.未測定4.7%(56/1200)であった.2.HBs抗原(+)46例中,HBe抗原(+)6.5%(3/46),HBe抗体(+)86.9%(40/46),未測定6.5%(3/46)で,46例中HBV-DNAを定量したのは31例,検出感度以上28例であった.そのうち核酸アナログを投与したのは20/28例であった.HBV-DNAが検出感度以下であった3例中1例から,ALT/ASTの上昇およびHBV-DNAが陽性化した(膀胱腫瘍,GEM+CDDP3コース終了後).3.HBs抗原(-)の1097例の検討では,HBc抗体(+)and/or HBs抗体(+)は8.5%(93/1097).未測定74.3%(892/1092)あり,ガイドライン上の通常の対応群となったのは92.0%(1004/1097)であった.HBc抗体(+)and/or HBs抗体(+)93例中HBV-DNAを定量したのは45例で,全例検出感度未満のため核酸アナログは投与されていなかったが,2例(2/45)でHBV-DNAが陽性化し核酸アナログ投与を開始した.ともに非ホジキンリンパ腫(Rituximab/造血幹細胞移植施行/PSL+CyA投与)であった.【結論】固形腫瘍において,HBs抗原(+),HBV-DNA感度以下症例でのHBV再活性化を1例を認めた.HBs抗原(-)HBV-DNA感度以下から感度以上となった症例は2例認めたが,いずれも血液疾患であり固形腫瘍からは認めなかった.固形腫瘍では,主にHBs抗原(+)症例を対象としたHBV-DNAのモニタリングが重要であることが示唆された. |
索引用語 |
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