セッション情報 | ワークショップ3B型肝炎ウイルスの再活性化の現状と対策 |
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タイトル | W3-8[追加]:HBV既感染悪性リンパ腫に対する核酸アナログの予防投与の検討 |
演者 | 加藤 俊幸(新潟県立がんセンター新潟病院内科) |
共同演者 | 青柳 智也(新潟県立がんセンター新潟病院内科), 栗田 聡(新潟県立がんセンター新潟病院内科) |
抄録 | 【目的】2001年に分子標的治療薬リツキシマブが導入されてB細胞リンパ腫の予後は大きく改善されたが,HBV再活性化による劇症肝炎が問題となり,HBs抗原陽性例では核酸アナログの投与やステロイド投与の回避などの対策が有効であった.しかし,2005年にde novo B型劇症肝炎の死亡例を経験してからは,肝炎ウイルスの検索とHBs抗原陰性の既感染者も含めて化療開始から核酸アナログの予防投与の徹底を図ってきた.2009年にB型肝炎対策ガイドラインが発表されたが,既感染者に対する対応,なかでも重症化しやすいリツキシマブを投与する悪性リンパ腫に対する予防投与を検討する. 【方法】2004-2010年の悪性リンパ腫(16-93歳)533例を対象に,肝炎マーカーやリツキシマブ投与の有無,核酸アナログの予防投与の有用性を検討した.同期間の固形がん患者では,HBs抗原のみが測定されていた. 【成績】リツキシマブを投与する悪性リンパ腫では,HBs抗原陽性例だけでなく既感染者にも核酸アナログの予防投与を行い,その後のde novo B型肝炎は1例のみである.薬剤性肝障害と脂肪肝も認めた.ガイドラインでは,既感染患者の月1回のHBV DNA定量モニタリングが提唱されているが,リツキシマブ投与例では不安が強い.各種癌患者に対しても関心が高まり,各科から治療の依頼が増えている. 【結論】HBs抗原陽性者に対する核酸アナログの予防投与は定着しつつあるが,既感染者に対しても予防投与が有効であった.とくにリツキシマブを投与する悪性リンパ腫や幹細胞移植例では予防投与が必要である.また分子標的薬の種類による再活性化への関与も課題である. |
索引用語 |