セッション情報 ワークショップ3

B型肝炎ウイルスの再活性化の現状と対策

タイトル W3-9[追加]:

当院における治療法別のB型肝炎再活性化の現状

演者 内藤 達志(福井大学医学部内科学第二講座)
共同演者 根本 朋幸(福井大学医学部内科学第二講座), 中本 安成(福井大学医学部内科学第二講座)
抄録 【目的】B型肝炎ウイルス(HBV)感染者・既往感染者からのB型肝炎再活性化は化学療法,免疫抑制剤,分子標的薬などで報告されているが,薬物の種類や治療法によるリスクの差異は十分に検討されていない.当院における治療法別のB型肝炎再活性化の状況を検討した.【方法】対象は2006年4月から2011年9月までに当院で治療されたステロイドパルス療法392例(HBs抗原陽性12例/既往感染18例/非感染37例/不明325例),R-CHOP療法112例(3例/29例/25例/55例),CHOP療法50例(0例/10例/25例/15例),リツキシマブ単独療法89例(4例/12例/18例/55例),メソトレキセート内服療法225例(4例/7例/12例/202例),インフリキシマブ療法76例(0例/2例/7例/67例)の計944例とした.治療経過でのHBs抗原,HBV-DNA量,ALT値の推移,抗ウイルス薬投与について検討した.【成績】ステロイドパルス療法ではHBs抗原陽性の2例(17%)で肝炎の発症を認めた.R-CHOP療法では既往感染の2例(7%)でHBs抗原の陽転を,うち1例で肝炎の発症を認めた.CHOP療法では既往感染例の1例(10%)でHBV-DNAの陽転を認めた.そのほかの治療では再活性化を認めなかった.ガイドライン以前には,R-CHOP療法およびCHOP療法を受けた既往感染17例中4例(24%)で化学療法前に抗ウイルス薬が投与されていたが,ガイドライン以後は行われていなかった.【結論】当院ではガイドライン提示により,既往感染例のうちDNA上昇例にしぼった医療経済的に効率的な抗ウイルス薬投与が行われるようになった.今回の検討では,ステロイドパルス療法,R-CHOP療法,CHOP療法でのみB型肝炎再活性化を認めた.治療法別にガイドラインを検討することは,医療経済的にも一層有用であることが示唆された.
索引用語