セッション情報 ワークショップ3

B型肝炎ウイルスの再活性化の現状と対策

タイトル W3-11:

De novo B型肝炎発症HBVの全塩基配列決定とその特徴

演者 梅村 武司(信州大学消化器内科)
共同演者 城下 智(信州大学消化器内科), 松本 晶博(信州大学消化器内科)
抄録 【目的】De novo B(DN-B)型肝炎は既往感染者からの再活性化により発症する肝炎である.重症化し易く,死亡率が高いことが知られているが,その原因については必ずしも明らかにされていない.本研究では肝炎発症HBVの全塩基配列を決定し,病態に及ぼすウイルス側の因子を検討した.【方法】2000~2004年と2006~2010年の10年間に行った全国調査では,DN-B型肝炎39例と急性B型肝炎232例が登録された.この内,血清が保存されているDN-B型肝炎16例と急性B型肝炎16例についてdirect sequencing法で全塩基配列を決定した.【成績】今回対象としたDN-B型肝炎と急性B型肝炎には劇症化例がそれぞれ5例と3例含まれている.遺伝子型別頻度はDN-B型肝炎がA 0,B 10,C 6,急性B型肝炎がA 2,B 1,C 13であった.DN-B型肝炎における劇症化例と非劇症化例の遺伝子型別頻度はそれぞれ,B 2,C 3とB 8,C 3であった.系統樹解析ではDN-B型肝炎と急性B型肝炎が特定のクラスターを作ることはなかった.【考案】これまでの検討では,DN-B型肝炎や劇症肝炎に特有なHBVの系統は示唆されなかった.病態に特有な塩基変異の有無についてはさらに解析中である.【結語】DN-B型肝炎発症や劇症化に関与するウイルス側の因子は未だ不明な点が多い.今後,次世代シーケンサーなどの新しい方法論を用いた解析,さらには多数例での解析が必要である.
索引用語