セッション情報 ワークショップ3

B型肝炎ウイルスの再活性化の現状と対策

タイトル W3-13[追加]:

当院におけるB型肝炎ウイルス再活性化の現状

演者 北本 幹也(県立広島病院消化器内科)
共同演者 國原 紗代子(県立広島病院消化器内科), 茶山 一彰(広島大学消化器・代謝内科)
抄録 【緒言】2009年に免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドラインが発表され,当院においても他科からの紹介が増加し,核酸アナログの予防投与例が増加している.当院ではde novo B型肝炎8例,重症肝炎を3例経験しており,その詳細を報告する.【対象】de novo B型肝炎8例,非活動性HBVキャリアからの重症肝炎2例,非活動性HBVキャリアに対してentecavir(ETV)を予防投与した14例を対象とした.de novo B型肝炎の背景疾患は,Wegener肉芽腫症,側頭動脈炎,前立腺癌,間質性肺炎,好酸球性肺炎,慢性関節リウマチ2例,ネフローゼであった.その治療内容は,7例はステロイド治療,1例はメソトレキセート,インフリキシマブであった.非活動性HBVキャリアの背景疾患は,悪性腫瘍8例,喘息2例,膠原病2例などで,ステロイドや抗癌剤を投与される際に予防投与を開始した.【臨床像】1)de novo B型肝炎 HBs抗体・HBc抗体共に陽性5例,HBs抗体のみ陽性1例,HBc抗体のみ陽性2例であった.HBc抗体陽性の7例は高抗体価であり,1例はHBVキャリアを指摘された病歴があった.肝炎発症で初診された1例を除き,HBVDNA陽性化した時点でETVを開始し,すみやかにHBVDNAは陰性化し,肝炎は認めていない.2)非活動性HBVキャリア2例では過去のステロイド治療で肝炎歴があった.ETVにより肝炎は1例もなく,原則としてETVは継続している.1例では肝生検でF1であることを確認して,ステロイド中断後に本人の希望もありETVを中止し,その後の肝炎は認めなかった.3)重症肝炎例 ETVを開始し,ステロイドパルス治療で肝炎を鎮静化させることができた.【考察と結語】HBc高抗体価の症例を認め,HBs抗原自然消失例の可能性も考えられた.さほど高容量ではない免疫抑制治療にも関わらず発症したと考えられる症例を認め,注意を要すると考えられた.免疫抑制治療や化学療法の際にはガイドラインに従いde novo B型肝炎を常に考慮しておく必要がある.
索引用語