セッション情報 ワークショップ3

B型肝炎ウイルスの再活性化の現状と対策

タイトル W3-14[追加]:

B型肝炎再活性化におけるHBs抗体の意義と活性化ウイルスのゲノム解析

演者 高橋 健(京都大学消化器内科)
共同演者 上田 佳秀(京都大学消化器内科)
抄録 【目的】B型肝炎ウイルス(HBV)既感染者からのB型肝炎再活性化に関与する宿主側・ウイルス側因子は明らかになっていない.HBV既感染者から肝臓移植を受けたレシピエントでは,HBs抗体含有免疫グロブリン製剤の単独投与によって活性化を予防できることから,HBs抗体がHBV活性化防止に重要な役割を果たしていることは明らかである.今回,HBV既感染の血液疾患治療症例の前向きな解析から,B型肝炎再活性化におけるHBs抗体の意義,ならびに活性化例のHBV遺伝子配列の特徴を明らかにすることを目的とした.【方法】2006年10月から2009年10月までに京都大学にて入院加療を行ったHBs抗原陰性かつHBc抗体陽性の血液疾患症例35例について,HBV抗体価の推移ならびにHBV活性化の有無について前向きに解析を行った.さらに,HBV活性化を認めた3例についてはHBV遺伝子配列の解析を行った.【成績】3ヶ月以上経過観察可能であった29例中3例でHBV再活性化を認めた.HBs抗体は血液疾患治療前には27例で陽性であったが,治療に伴い12例で抗体価が50%未満に低下し,5例で陰性化した.治療前にHBs抗体が陰性であった2例中1例,ならびに治療中にHBs抗体が陰性化した5例中2例で血中HBV-DNAが陽性となった.一方,HBc抗体が経過中に陰性化した症例は3例のみであり,陰性化例でもカットオフ値を軽度下回るだけであった.HBV再活性化症例の遺伝子配列の解析から,いずれも遺伝子型Cであり,HBs抗原領域にHBs抗体エスケープ変異を含む特徴的な変異は検出されなかった.HBV-DNAが急速に増加した症例においても,プレコアならびにコアプロモーター変異は認めなかった.HBV-DNA陽性化例3例はいずれもエンテカビル投与にて肝炎発症の予防が可能であった.【結論】B型肝炎再活性化の早期予知にはHBs抗体価低下の有無が有用である可能性が示唆された.再活性化したHBVの遺伝子配列には特徴的な遺伝子変異は認めず,B型肝炎再活性化にはウイルス側因子よりも宿主の免疫状態の変化が重要であると考えられた.
索引用語