セッション情報 |
ワークショップ4
急性肝不全の現状と治療法の進歩
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タイトル |
W4-6:急性肝不全に対するon-line HDFの治療成績と課題
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演者 |
荒田 慎寿(横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター) |
共同演者 |
田中 克明(横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター), 今成 秀則(横浜市立大学附属市民総合医療センターME室) |
抄録 |
【はじめに】on-line HDFを用いた人工肝補助療法(ALS)の治療成績と課題を提示する.【施行方法】ベッドサイドで個人用透析コンソールを使用して行う.可動式精製水製造システムで準備した透析用水で透析液を作成し,透析液由来オンライン調整補充液は,計3個のETRFを経て脱血回路に投与する.血液透析濾過器はPS膜を使用し,QB=350 mL/min,QD=350 mL/min,QSF=350 mL/minの設定で,覚醒を得るまでは体液量の3倍を一回浄化量とする.【成績】急性肝不全28例(男性17例,女性11例)に施行し,平均年齢46.2歳,成因はHBV急性感染11例,HBVキャリア5例,薬剤性3例,アルコール性2例,鬱血肝1例,白血病1例,不明5例で,導入時の昏睡度はStage 2;6例,3;12例,4;10例であった.血清NH3値は3回施行後に全例で200 μg/dL以下となり,25例はほぼ意識清明まで回復した(覚醒率89.3%).覚醒まで平均4.2回±0.5回(1-10)施行を要し,必要回数は導入時のcoma stageと相関した(P<0.0001).総施行回数は12.7±1.9(2-47)で,ALS施行期間は平均14.5±2.4日(2-55)であった.最終転帰は,保存治療生存10例,移植4例,肝外疾患死亡6例,肝不全死5例であった.保存治療生存群と肝不全死群の比較では,年齢,性別,成因,昏睡度,AST値,NH3値,PT値,総Bil値,DT比のいずれも導入時に有意差はなかったが,導入後のNH3値,PT値,DT比の推移は2-5日で群間に有意差を認め,導入後5日程度で予後予測可能と考えられた.【課題】水質の保証,特にセントラルシステムによらない原水管理の基準作りや,標準的施行法を確定した上で多数例の検証が必要である.また,肝不全用透析液の開発,肝不全治療における保険認可などが期待される.【結語】on-line HDFは肝再生もしくは肝移植までのbridge useとして有用で,良質な覚醒を得た上で,移植治療適応の判断および準備ができると考える.施行条件の整備,施行法の標準化や保険診療の課題が指摘できる. |
索引用語 |
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