セッション情報 |
ワークショップ4
急性肝不全の現状と治療法の進歩
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タイトル |
W4-8:当院における急性肝不全,遅発性肝不全の実態―新旧肝移植適応ガイドラインの比較―
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演者 |
広瀬 俊治(東海大学消化器内科) |
共同演者 |
加川 建弘(東海大学消化器内科), 峯 徹哉(東海大学消化器内科) |
抄録 |
【目的】1996年に劇症肝炎の肝移植適応ガイドライン(以下旧ガイドライン)が作成されたが当初に比べ有用性が低下し2008年に新ガイドラインが作成され正診率,感度,特異度は何れも高率になった.今回当院に入院した急性肝不全,遅発性肝不全(以下LOHF)症例を調査し新旧ガイドラインの良否を検証する.【方法】対象は1975年以降当院に入院し急性肝不全又はLOHFと診断された症例.診断は厚労省研究班による急性肝不全の診断基準(2011年)に準拠,急性肝不全は非昏睡型と昏睡型(急性型,亜急性型)に分類.診療録から成因,病型,治療法,転帰を解析.移植適応については急性型と亜急性型を対象とし新ガイドライン(5点以上)と旧ガイドライン(5項目中2箇該当)の感度,特異度,正診率を比較した.【成績】症例63人,うち男性31人(49.2%).平均年齢47±16歳.成因はHAV2例(3.2%),HBV21例(33.3%),HCV1例(1.6%),HEV1例(1.6%),自己免疫性4例(6.3%),薬物性6例(9.5%),成因不明28例(44.4%).病型は非昏睡型11例(17.5%),急性型19例(30.2%),亜急性型29例(46.0%),LOHF4例(6.3%).治療法はステロイドパルス12例(19.8%),血漿交換44例(68.3%),GI療法35例(55.6%),持続血液濾過12例(19.8%),移植5例(7.9%).転帰は死亡(含移植)48例(76.2%),軽快15例(23.8%).成因別死亡率はHAV0例,HBV16例(76.2%),HCV1例(100%),自己免疫性3例(75%),薬物性3例(50%),成因不明24例(82.8%).病型別死亡率は非昏睡型3例(27.3%),急性型16例(84.2%),亜急性型26例(89.7%),LOHF3例(75.0%).死亡予測は,旧ガイドラインは急性型で正診率40%,感度100%,特異度25%,亜急性型で正診率75%,感度91%,特異度16.7%であった.新ガイドラインは急性型で正診率35.7%,感度100%,特異度25%,亜急性型で正診率53.6%,感度92.3%,特異度14.3%であった.【結論】新ガイドラインは急性型,亜急性型の両方で旧ガイドラインより正診率,特異度が低い傾向にあった. |
索引用語 |
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