セッション情報 |
ワークショップ5
改正臓器移植法施行後の肝移植の現状と展望
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タイトル |
W5-3:当院における脳死肝移植症例の検討
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演者 |
永野 浩昭(大阪大学消化器外科) |
共同演者 |
土岐 祐一郎(大阪大学消化器外科), 森 正樹(大阪大学消化器外科) |
抄録 |
本邦における脳死肝移植症例数は,改正臓器移植法の施行以後に若干増加したものの,依然として待機患者数は多く,提供者不足は顕著である.現状での問題点を明らかにするため,当院における脳死肝移植待機状況および肝移植施行症例について検討した.【対象】脳死肝移植登録数は2000年の初登録から2012年8月まで(約12年間)で,のべ212名であった.脳死肝移植施行例は,法改正(2010年7月)以前での約10年で9例であり,法改正後では3例であった.本検討では,当院における(1)脳死肝移植登録患者212例および(2)脳死肝移植施行例13例を対象とした.【結果】(1)2012年8月末時点の,脳死肝移植待機症例は59名(27.8%,待機期間中央値745日)であった.死亡例は71例(33.6%),生体肝移植施行例は40例(19.0%)であった.一方臓器移植法改正前2010年6月時点での登録者数は167名で,待機症例は46名(27.5%,待機期間中央値731日),死亡例は56名(33.5%)であった.生体肝移植施行例は31例(18.6%)で,改正前後でその比率に変化はなかった.医学的緊急度6点の待機症例は26例で,待機期間中央値は484日(71~1743日)であった.(2)登録より移植までの期間は中央値779日(2~1519日)であった.医学的緊急度は9点(劇症肝炎)が2例,6点が8例であった.改正後の3例は10点(劇症肝炎)が1例,6点が2例あり,待機日数は10点(劇症肝炎)が7日,6点の2例がそれぞれ705日と863日であった.全例の冷阻血時間は平均7時間13分であった.脳死肝移植全症例の1年生存率は76.9%,3年生存率67.1%であり,成人脳死肝移植11例の1年生存率は80%,3年生存率は70%であり,成人間生体部分肝移植の成績と有意差を認めなかった(p=0.613).【結語】本邦の脳死肝移植は,臓器移植法の改正以後も,深刻なドナー不足にある.貴重な臓器提供を最大限に生かすともに,施設間の情報共有が重要であると考えらえた. |
索引用語 |
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