セッション情報 ワークショップ6

未分化型早期胃癌の診断とESDの適応

タイトル W6-2:

未分化型早期胃癌の臨床病理学的検討

演者 大高 雅彦(山梨大学第1内科)
共同演者 浅川 幸子(山梨大学第1内科), 榎本 信幸(山梨大学第1内科)
抄録 背景:2cm以下,潰瘍(-),脈管侵襲(-)の条件を満たす未分化型粘膜癌はリンパ節転移のリスクが少なく内視鏡的粘膜切除術の適応拡大の可能性がある.この条件を満たす病変であってもリンパ節転移(+)の症例を認めることがある.目的:未分化型早期胃癌の手術例を用いてretrospectiveにリンパ節転移に関与する因子を検討した.対象:1983年から2012年3月まで山梨県10施設で根治手術を施行した未分化型早期胃癌711例(残胃を除く).方法:摘出標本による臨床病理組織学的所見を検討.内訳,男性391例,女性321例.平均年齢60.0歳(31-91歳).病変の大きさ2-135mm(平均27.2mm),肉眼型は隆起型(0-I+0-IIa)50例,陥凹型(0-IIc+0-III)653例,部位U76例,M365例,L153例,深達度M390例,SM318例,主組織型por314例,sig389例,muc8例,分化型混在114例.UL(+)161例.ly(+)170例,v(+)56例.リンパ節転移は63例(8.9%).未分化型適応拡大の基準を満たす例ではリンパ節転移なし.結果:未分化型早期胃癌のリンパ節転移の危険因子は年齢(≧60歳,p=0.082),男性(p=0.8826),M領域(p=0.0476),隆起型(p=0.0207),大きさ(>20mm,p=0.0001),por(p=0.1795),分化型混在(p=0.0045),SM浸潤(p=0.0000),UL(+)(p=0.3886),ly(+)(p=0.0000),v(+)(p=0.0005).多重ロジスティック回帰分析では>20mm(p=0.0100,odds 2.8)とly(+)(p=0.0000,odds 43.7),M癌のリンパ節転移は12例(0.26%)で,危険因子は大きさ(>20mm,p=0.0017),UL(+)(p=0.0436),ly(+)(p=0.0000),v(+)(p=0.0031).ly(+)の危険因子は多重ロジスティック回帰分析で>20mm(p=0.0007,odds 2.2)とSM浸潤(p=0.0000,odds 35.1).データマイニング解析によるly(+)の予測モデルではSM,v(+)は74.3%,M,UL(+),porは16.7%,M,UL(+),sigは2.3%,M,UL(-)は0.5%のリスクがあった.結語:未分化型早期胃癌のリンパ節転移のリスクは>2cmとly(+)であり内視鏡治療の適応拡大は容認できる.決定木でly(+)のリスクはM,UL(-)で0.5%存在し,porはsigよりlyのリスクが高い可能性が示唆された.
索引用語