セッション情報 ワークショップ6

未分化型早期胃癌の診断とESDの適応

タイトル W6-5:

未分化型微小胃癌の臨床像の検討

演者 平澤 俊明(がん研有明病院消化器センター内科)
共同演者 山本 頼正(がん研有明病院消化器センター内科), 藤崎 順子(がん研有明病院消化器センター内科)
抄録 【背景】胃癌治療ガイドラインでは2cm以下のUL(-)未分化型pT1aが一括切除され,脈管侵襲及び断端が陰性であった場合を適応拡大治癒切除と明記され,研究的治療として位置づけられた.しかし,未分化型は早期に粘膜下層に浸潤し,潰瘍を伴うことが多く,発見時には多くの病変が適応拡大の範疇から外れている.つまり,未分化型の内視鏡治療を進めるうえで,いかに早い段階で拾い上げるかが重要となってくる.今回は癌の発生早期の段階と考えられる5mm以下の未分化型微小胃癌の検討を行った.【目的】未分化型微小胃癌の臨床像を明らかにする.【対象と方法】2003年11月から2012年7月までに当院で術前に未分化型適応拡大と診断してESDを施行した169例のうち,術後病理診断で5mm以下であった40例を対象とし,臨床像を検討した.【結果】年齢:中央値56歳(37-82歳).性別:男性22例,女性18例.通常胃31例,術後胃9例(すべて未分化型に対する幽門側胃切除).術後病理診断:治癒切除39例,非治癒切除1例(SM1).平均腫瘍径:3.3mm.肉眼型:0-IIb 17例,0-IIc 23例.病変部位:U領域9例(大彎6例,前壁1例,後壁2例),M領域16例(大彎6例,小彎3例,前壁2例,後壁5例),L領域15例(大彎6例,小彎3例,前壁1例,後壁5例).組織型:純粋なsig37例,porが一部混在3例.病変の色調:褪色36例,発赤4例.病変部位の萎縮:非萎縮粘膜35例,萎縮粘膜5例.ピロリ感染:陰性17例,陽性または不明23例.(除菌歴なし.内視鏡的萎縮なし.ペプシノーゲン法陰性.血清ピロリ抗体陰性または呼気テスト陰性.以上4つの条件をすべて満たすものをピロリ陰性と定義)
【考察】未分化型微小胃癌はほとんどが純粋なsigであり,非萎縮粘膜内の凹凸の目立たない小さな褪色粘膜として視認される病変が多かった.M,L領域の大彎,後壁は未分化型の好発部位であり,胃壁を十分に伸展させ観察すべきである.また,ピロリ陰性胃癌と未分化型術後残胃に注意する必要がある.
索引用語